住友商事は、石油や鉄鉱石などの資源安の影響で、2015年3月期から2年連続で巨額の減損損失を計上し、業績が低迷。しかし、メディア事業などの成長により、過去最高益の更新も視野に入ってきた。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

 住友商事の業績が回復基調にある。2015年3月期は米国のシェールガスなどの資源事業で巨額の減損損失を計上し、16年ぶりの最終赤字に転落。その翌年もマダガスカルのニッケル事業などの資源事業で多額の減損損失が続き、業績は低迷していた。

 ところが、17年3月期の当期利益は、期初予想額の1300億円を大幅に上回る1709億円で着地。さらに18年3月期の第1四半期には前年同期比で3.4倍の782億円に達している。

 18年3月期の当期利益は2300億円の計画だが、「足元の感触からすれば、今年度は過去最高益(12年3月期の2507億円)を更新することが十分に可能だ」(中村邦晴社長)と自信を深める。

 業績回復の理由は二つある。

 一つ目は資源事業の改善だ。住友商事は大手商社の中では資源事業の比率が小さく(図(1))、さらに過去3年間は資源事業の赤字が続いてきた。しかし、17年3月期は原料炭や亜鉛などの価格上昇で業績が改善した。

 二つ目は非資源事業の一つであるメディア・生活関連事業の好調さにある。17年3月期はメディア・生活関連事業の当期利益が前年比で2割増加の770億円となり(図(2))、全社利益の約半分を占めた。さらに今期は860億円を見込んでいる。

 メディア・生活関連事業の業績を押し上げているのは、住友商事の子会社・関連会社である三つの「虎の子」の存在だ。17年3月期のメディア・生活関連事業の当期利益770億円のうち、出資比率に応じた住友商事の取り込み利益は、ジュピターテレコム(JCOM)が349億円、SCSKが121億円、ジュピターショップチャンネルが85億円で、これら3社合計で555億円を占めている(図(3))。