「異次元緩和」による日銀の国債買い取りが、いつしか政府の借金を支える“財政ファイナンス”に変質し始めている。新規発行される国債の大半を日銀が購入することで、財政規律が弛緩し財政再建は遠のくばかり、消費増税も二度先送りされてきた。DOL特集「砂上の楼閣 日本銀行」6回目では、財務省OBでもある藤井裕久・元財務相にインタビュー、政治から見た「異次元緩和」の評価を聞いた。(聞き手 ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)
金融の超緩和政策が
経済をおかしくしてきた
──解散・総選挙になりましたが、消費税や財政再建といった政策の議論が蔑ろにされています。
今、選挙をして国民に何を判断してもらうのか、安倍首相の解散はもともと大義名分がはっきりしないものです。さらに選挙前になって、急に消費税増税の使途変更を言い出したかと思えば、一方で、財政再建の目標時期を先送りしてしまうなど、票目当てと党利党略だけで、政策が打ち出されている感じがします。