安さか、大容量か、分かりやすさか──。横並びだった通信大手3社の料金プランに、“個性”が見え始めた。秋のiPhone商戦からユーザーの囲い込みを狙う3社の戦略を探った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
「iPhoneという高級端末で、通信料金を安くしたかった。毎月のコストは最も安い料金が設計できた」
米アップルのスマートフォン最新機種、iPhone8が9月22日に発売されて始まった秋商戦。KDDI(au)コンシューママーケティング2部の多田一国部長は、こう自信を見せる。
今回、auが満を持して投入した料金プランは、毎月のデータ使用量に応じて料金が変わる「ピタットプラン」だ。データ通信をあまり使わなかった月は料金を抑えることができるため、従来の5ギガバイト(GB)の定額プランの利用者は、「平均で月1500円ほど安くなる」(多田部長)。
ただ、新プランは通信料を安くした代わりに、毎月の端末割引が適用されなくなってしまう。
そこで、端末価格の負担を低減するために編み出した“奇策”が「48回払い」である。24カ月を過ぎてから再びauで機種変更すれば残債を免除する仕組みだ。月390円の追加料金が掛かるが、このプランを利用すれば端末価格を半額近くまで下げられる。
通信料と端末価格の合計で、データ通信量が月1GBまでなら月4433円と、NTTドコモの月7263円、ソフトバンクの月6568円と比べ、頭一つ安い料金プランを実現した。
今回のプランが誕生した背景には、「格安スマホの台頭で、auもうかうかしていられないという危機感があった」(同)。