新党「希望の党」を率いる小池百合子代表(東京都知事)と前原誠司民進党代表が厳しい批判に晒されている。前原代表の「事実上の解党」という決断を受けて、希望の党に公認申請した民進党出身の候補者に対して、小池代表が独自の基準で選別する「排除の論理」を持ち出した。その結果、公認を得られず路頭に迷った「自称リベラル派」の議員が「立憲民主党」を結成した。衆院選を前にして、野党陣営の分裂という「混乱」を起こしたとして、小池知事・前原代表が批判されているのである。
しかし本稿は、小池代表・前原代表の行動は、この連載で4年前から主張してきた「政策別野党再編」という「政界の創造的破壊」の実現であると、高く評価したい(本連載2013.8.2付)。
小池代表の「排除の論理」は当然
「寄り合い所帯」批判払拭が政権交代の第一歩
この連載が「政策別野党再編」を訴え続けてきたのは、国民の野党に対する根強い不信感が、突き詰めると政策志向がバラバラな政治家が集まっている「寄り合い所帯」にあると思うからだ。
1993年に、「55年体制」成立後初めての「非自民政権」だった細川護熙政権と羽田孜政権が混乱の末に退陣した時から、常に付きまとってきた深刻な問題である。特に、2009年から約3年間の民主党政権で、憲法、安全保障、財政・税制など基本政策を巡って、党内が分裂して足を引っ張り合うような醜態を晒し続けたことで、国民の不信感は頂点に達したといえる(2015.11.24付)。
小池代表が「排除の論理」を持ち出すことなく、全ての民進党出身の候補者を希望の党の公認候補としていたら、どうだっただろうか。おそらく、現在以上の厳しい批判に晒されることになったはずだ。
「保守色」が強い小池代表と、安保法制反対や護憲を訴える「自称リベラル派」の議員が、無条件で合同したら、「寄り合い所帯」以外の何物でもない。それ以上に問題なのは、小池代表が民進党を丸ごと受け入れることは、小池代表が「民進党代表」に就任するのと同じことになるということだ。選挙で敗色濃厚な党が、人気のある大衆政治家を代表にして、なりふり構わず生き残ろうとしているという「究極的な大衆迎合」だという批判も巻き起こったはずだ。