パソコンの売れ行きが停滞している。

 ご存じのように、1995年頃から始まったインターネットブームを皮切りに、パソコンは爆発的に売れてきた。買うべき人に行き渡ったあとも、買い換えや買い増しもあって順調に売れてきたのだ。この間、OSのバージョンアップ、AV機能や低価格で大画面のノートなど、購買意欲をそそる製品が毎年のように登場してきた。

 ところが、最近は売れ行きが芳しくない。昨年初頭に登場したWindows Vistaが、肩すかしであった。業界の予想を大きく外し、対前年比を下回る月が多くなっている。ちなみに、これは日本での話で、発展途上国では順調に売れており、世界的にはパソコンの販売は好調だ。日本での販売不調を裏付けるように、昨年、日立製作所がパソコンの製造から撤退したのも驚かされたニュースだ。

デザイン戦略を前面に打ち出したソニー

 さて、そんな中、メーカー各社は色々な手法で販売増を目指しているが、最近特に目立つのがボディカラーの多様化だ。目立つデザインのモデルでは、先駆者といえるソニーが特に力を入れている。

 パソコンで一般的なカラーは、黒、白、グレーあたりだが、数年前からカラーバリエーションモデルが目立ってきた。中でもソニーが特徴的なモデルに力を入れており、昨年には、女性が持つ化粧用のコンパクトをイメージしたデザインのtype Cを投入。さらに今シーズンは、天板にかつて見たことのない柄をプリントした「プレミアムデザイン」を携帯ノートに投入している。

ソニーのVAIO type-S プレミアムデザイン「モダンドット」仕様
ソニーがtype-Sで採用した「プレミアムデザイン」によるモダンドットを施したモデル。天板トップの意匠がより印象的に仕上がっている。

 「type Sが採用したプレミアムデザインは、名前が示すように予算に余裕のある層を狙ったモデルです。モバイルノートは二極化が始まっていると思います。安価で高性能を目指したモデルだけでなく、モノとして愛着が持てる付加価値のあるタイプにもニーズがあることがわかりました」(ソニー VAIO事業本部 企画部門 企画部4課 プロダクトプロデューサー 後藤 剛氏)

 例えばボールペンは、文字を書くだけなら、100円ショップで売っているものでもかまわない。書き味の良さを求めたとしても、1本200円も出せば十分であろう。ところが、大きな文具店に出かけると、1本数万円するボールペンが並んでおり、それを使っている人もよく見かける。高価なボールペンは、自己満足のためであったり、主張のためのメディアと化しているのだ。