AlexaやGoogle Assisatantのように発話や命令の意味を解釈して必要なアプリを実行したり、用意された返事をするのではなく、時間、人の動き、その人の生活パターンなどから、その人が目覚めたのか、夜中にトイレに起きただけなのか、冷蔵庫にものをしまっているのか出しているか、といった細かいアクションを識別できる。CASPARは寡黙だが、CASPAR住宅に住んでいるユーザーは、基本的な制御はAIに任せて、必要なときだけ命令するという使い方で困ることはないという。

デベロッパーが供給するAI住宅

 もうひとつの特徴は、CASPARが利用するセンサーや制御する家電機器は、専用の住宅や特定のシステムである必要がないということ。Bluetooth、Zigbee、Z-WAVE、あるいは一般的な赤外線リモコンといった汎用の通信規格を利用するので、さまざまな住宅や家電機器、デバイスに対応できる。BoT社CEOのサクセナ氏は「BoTが提供するのは、AIによるサービスと付加価値であり、特定のAIスピーカーやデバイスではない。したがって、Amazon EchoやGoogle Homeも協業相手にはなるが競争相手ではない」と語っている。

CASPARに対応するセンサーやリモコンなど。Z-WAVEや赤外線を利用するので制御する製品は選ばないが、デバイスメーカーや代理店がさまざまデバイスを用意している

 日本でもシャープやパナソニックなどがIoT住宅などの類似の提案をしているが、スマホアプリでリモート制御するものが多く、しかも、制御できる製品は自社製品に限られる傾向がある。

 カメラやモーションセンサーの設置などは、最初から組み込まれていたほうが家全体の制御がしやすいし、導入効果も高い。アメリカでは大手デベロッパーがCASPAR対応物件を展開し、市場を拡大している。日本でもインヴァランスという不動産デベロッパーがBoT社に投資を行い、国内でCASPARをビルトインしたAI住宅の供給を行っていくことが発表された。

 ディズニー映画「ウォーリー」では、宇宙船の船長が古いマニュアル本を発見して「~の操作を教えろ」と口頭で命令するシーンがある。当然、本は返事をしないのだが、コンピュータの操作は口頭で行うのが当然、そういう時代が始まろうとしている。

(ITジャーナリスト・ライター 中尾真二)