トップダウンの「えいや」も必要。急成長する事業の意思決定

朝倉:今のLINE社は元を辿るとハンゲームから始まって、NAVERまとめがあって、それからいまのLINEへと、目玉のプロダクトが移り変わっていますが、新しいプロジェクトが出てきた時の社内の変化というのはどのようなものだったんでしょうか?

森川:もともとゲーム事業があって、韓国でゲームと検索が二大事業だったので、ライブドアを買収したんですが、検索ってすごく難しくて、それでその時色々なサービスを出してみたんですよ。それが、ことごとく失敗しました。PC向けは駄目だし、ガラケー向けも市場競争が激しくてうまくいかないとなって、スマホに大きく振ることにしました。それで、社員の約半分をスマホ担当にしたところ、無料アプリの上位になり、まあまあうまく行ったんですが、それで儲かるというところまでは行きませんでした。

 それで、それまでもコミュニケーションをベースにすることでゲームでも儲けを出してきたので、まずコミュニケーションをとる手段を提供しなければということで、LINEを出したらたまたま当たったんです。それでも最初は売上はゼロで、社員も「あんなもんに俺たちの給料使いやがって」って言う人が多かったですね。

社長になってすぐ確立した「冷たい男」というブランディングが役立った?

朝倉:どの事業に張っていくかは経営判断だと思いますが、売上が立たない中で、どのようにLINEの立ち上げを推進していったんですか?

森川:既存事業をやってる人とは距離をおいて、ある程度プラットフォームとして機能するまでは、ステルスでグロースさせました。プラットフォームになるタイミングで、ゲームやポータルを担当していたハンゲームやNAVER、ライブドアのメンバーを入れて、ビジネスモデルとして形にしたという感じですね。

朝倉:既存事業も、まったくなくなるわけじゃないじゃないですか。既存事業に残っている人たちは、自分たちの担当事業が花形ではないところになってしまったという感情を抱くと思うんですが、そのあたりの対応はどうされたんですか?

森川:それはもう「えいや」でやるしかないですね。

 以前の話ですけど、日本人って運営が好きなので、細かい改善中心の仕事ばかりやっていて、なかなか大きくグロースしない時期があったんです。その時に運営をチームごと中国に持っていくことにしたんです。中国に行くかやめるか、どっちかにしてくれと。そうやって社員の言うことを聞かずに「えいや」ってやることも重要だと思うんです。私の場合は、社長になってすぐ社員全員の給与をリセットしたりして冷たい男だというブランディングができたんで、そういうことができたのかもしれませんけど。

*次回【森川亮さんに聞く Vol.2】経営者は情に流されるな。「職人気質」が日本の会社をダメにするに続きます。
*本記事は、株式公開後も精力的に発展を目指す“ポストIPO・スタートアップ”を応援するシニフィアンのオウンドメディア「Signifiant Style」で2017年9月11日に掲載された内容です。