東京で交通事故が多い道路。そのワースト5は、環七、甲州街道、環八、青梅街道、明治通り。ここ数年間、4位と5位に順位の変動はあるものの、顔ぶれは変わってない。

 幸いにしてというべきか、これら5つの路線がすべて通る区はない。だが、4つならある。そう、杉並区だ。

閑静な山の手住宅区は
交通事故と放火のリスクが悩み

 杉並区の面積当たりの交通事故発生件数は、11位。やや多い程度である。しかし、交通事故100件当たりの死傷者数は23区で一番多い。交通事故100件当たりの死傷者数は地域間の差が小さく、そのため毎年順位が大きく入れ替わる。そんな中で、杉並区は過去3年間、不名誉なトップの座に居続けている。

 閑静な山の手の住宅地が広がる杉並区。そんな杉並区は、交通事故と並び、もう1つリスクを抱えている。放火だ。放火犯の認知件数は23区中最多を数える。

 さらに注意すべきは、放火が増えていることである。放火犯の認知件数は年によって変動が大きいので、2002年~04年の平均と2007年~09年の平均同士を比べることにする。

 結果は、23区全体では半数近くに減少しているのに対し、杉並区は4割以上の増加を示している。放火による被害も深刻で、焼損床面積に占める放火の割合は3割に迫り、23区で2番目に高い。

 閑静な住宅地に忍びよる魔の手といえば、空き巣も忘れてはならない。杉並区は、かつて「空き巣多発地帯」の汚名を被っていた。空き巣の被害がピークに達したのは02年。この年、侵入窃盗(その大部分が空き巣)の発生数は、23区の2位となった。

 03年8月、区は警察OBを非常勤職員に採用し、「安全パトロール隊」を発足させる。翌04年3月には、全国に先駆けて「防犯カメラの設置及び利用に関する条例」を制定する。