先日、長崎観光連盟から1通のメールが届いた。その添付ファイルは、「<発信力>、狙うは新『黄金ルート』」という記事だった。上、中、下という構成からなる「復活 上海航路」という記事の最終編のようだ。
上海航路開設で中国人観光客の
増加に期待高まる長崎
今、長崎県は上海航路(長崎-中国・上海)という新しい話題に沸き立っている。11月3日に、上海航路に就航する旅客船「OCEAN ROSE(オーシャン ローズ、中国語訳は“海洋●瑰”号、●は王へんに攵)」が、長崎港から上海に向けての第1便をスタートさせた。22時間の航海は片道料金がわずか7800円(人民元に直すと約630元)と安い。今回は話題作りのテスト便に過ぎないが、宿泊設備や劇場などの改装工事を終えて、来年1月に入ってから週1~2便のテスト営業運航が始まる。正式な営業運航は3月からとし、週3便の予定だ。
九州新幹線の開通で密かにそのマイナス影響を心配している地元では、OCEAN ROSEで運ばれてくる購買意欲の高い中国人に期待を高めている。長崎新聞の報道によれば、導入台数では九州でトップクラスを誇る中国人向け決済システム「銀聯(ぎんれん)」をさらに約3割、100台近く増やすという。
約1000人乗りのOCEAN ROSEは250人乗り航空機4機分に相当する送客力がある。上海航路が週3便で定着した場合、年間10万~20万人の中国人観光客を運んでくることになる。それを“国際都市”へ進化する絶好のきっかけと捉えた長崎市は鼻息が荒い。「昨年長崎市を訪れた外国人観光客は約16万4000人。10年前の2.4倍だが、中国人は約1万人で全体の6.3%にとどまっている。市は上海航路をてこに、20年までに外国人観光客を60万人まで増やしたい考え」(長崎新聞)。
しかし、多くの識者が指摘したように、上海航路の存立基盤は集客力にある。大前提となる長崎の「知名度」の向上も喫緊の課題である。
長崎観光連盟から送られてきたメールの要件は、まさにその課題のためである。