併存の多い「うつ病」「社会不安障害」「アルコール依存症」

 ADHDの人は精神疾患を併存しているケースが多く見られます。ADHD特有の症状より失敗を繰り返してうつ状態に陥り、精神科や心療内科を受診する人は少なくありません。

 米国における調査では、社交不安障害などの不安障害が47.1%、うつ病、双極性障害などの気分障害が38.3%、アルコール依存などの物質使用障害が15.2%などと併存率が高いことが明らかになっています。うつ病と診断された人の背景にADHDがあるケースも多々あります。ADHDが原因で精神疾患を発症している場合、うつ病の治療に加えてADHDの治療が必要となることが多く見られます。

 他の発達障害との併存もあります。ASDは「空気が読めない」「コミュニケーションが苦手」「こだわりが強い」などが特徴とされ、これまでは全く異なる疾患と考えられていましたが、ASDとADHDには類似点が数多く見られます。先天的にASDとADHD、2つの特性を持つ人もおり、ADHDの人がASDと誤診されるケースも珍しくありません。

治療の第一歩は特性を知ること

 ADHD治療の柱は、薬物治療と心理社会的治療です。残念ながら完治は望めません。どのような問題を抱えているかを把握した上で治療方針を決め、症状だけでなく、生活上の困難を改善し、本来の能力を十分発揮できる状態を目指します。

 薬物治療では、衝動性や多動を抑え、注意力や集中力を高める効果が期待できます。メチルフェニデート徐放剤(商品名:コンサータ)は即効性があり、朝服用すると短時間で効果が現れ、12時間あまり持続します。副作用は、頭痛、食欲不振、動悸、不眠などです。この薬剤は乱用や依存が問題となったリタリンを改良した中核神経刺激薬ですが、医師の指示を守って服用すれば問題はありません。アトモキセチン(商品名:ストラテラ)は服用後、効果が現れるまでに3~4週間かかりますが、その後は効果が24時間持続します。重大な副作用はありません。この2剤の有効性は同程度で、約8割の人に効果が現れます。

 心理社会的治療は、社会生活のサポートが目的です。ADHDの人はさまざまな問題を、自分なりの知恵と努力で乗り切っていますが、うまく対処できていない状況も多々あります。そこで、コミニュケーションスキル、自己マネジメントスキルなどの対処方法を身につけていきます。