〈付加価値連鎖分析〉を学ぶ
「次は〈付加価値連鎖分析〉や。〈バリューチェーン〉とも言うが、要は、購買→製造→出荷→販売→マーケティング→サービスとつながる『ライン部門(主活動)』と、それを支える管理、研究、調達などの『間接部門(支援活動)』で、ビジネスは成り立ってるということや」
「はい……」
「わかりにくいか?」
「ちょっと」
「和菓子店で考えてみよか。ただし、商店街の小さな店ではなく、毎日10万個も作るような大規模な和菓子店をイメージして話すわな。すると、こんな感じになる」
●ライン部門
1.まんじゅうを作るには、小豆や小麦粉、砂糖などが必要で、そういった良質な原材料を安く仕入れることが大切(購買)。
2.仕入れた小豆を煮たり、小麦粉をこねたりして、まんじゅうを作る(製造)。
3.できあがったまんじゅうは、製造工場から販売店に運ばれる(出荷・物流)。
4.商品のまんじゅうは、基本的に自社の店舗で「販売」するが、コンビニやデパートで販売される場合もある。そのような場合、販売は伝票上で行われるから、「出荷先=販売先」と考えてもいい。「マーケティング」は、基本的には全工程に関わるが、この図では顧客との接点(広告やプロモーション)を意識して、販売と同じ枠に入れている。
5.購入客のクレームや商品事故にも対応する(アフターサービス)。
●間接部門
1.原材料の小豆を、中国から仕入れようとか、仕入先を変更しようとか、時には、アンコを自社工場で作るのはやめてアンコ専門メーカーから仕入れようとか、大きな発想での仕事を受け持つこと(調達)。
2.新しい商品を開発したり、製造方法を研究したりすること(研究開発)。
3.どういう人材をどの部署に配置するかという適材適所を考えたり(人事)、賃金や働き方の制度を設計、運用したり、安全遵守の徹底などをすること(労務管理)。
4.財務、法務、経理、情報サービスなど(全般管理)。
「こういう全社的な経済活動の結果として、『利益(マージン)』が生み出されるんや」