差別化戦略しかない
「で、結局、この図で考えるとな、一般的に言われる競争というのは『業界内競争』や。結局、業界で戦うんやからな。でも、どっから敵が突然現れてくるか、他に攻めていける業界はないか、(今は認められていない)外国人の理容師が認められるようになるか、といった業界全体で『販売』や『調達』の力関係が変わる可能性とかを油断なく5つの力分析のチャートを眺めながら考えるのは大切や」
業界というのは、一般的にどの会社も、同じような製品やサービスを提供しているわけで、その中で、競争に勝つ手段は2つしかないそうだ。
・低コストを実現して「利益を確保」するか「低価格」の魅力で競争する〈コスト・リーダーシップ戦略〉。
・誰も真似できないような「独自性や付加価値」を実現する〈差別化戦略〉。
「お客さんには利益が出ているかどうかは見えないから、お客さんにアピールするポイントは、価格か差別化かということになる」
「差別化ってなんすか?」
「競合他社と比較して、商品やサービスに差異を設けることで競争上の優位性を確保しようということや。ユニクロの商品で言うと、冬の〈ヒートテック〉や夏の〈エアリズム〉やな。今では、似たような商品が出回っているが、発売当初は、従来の下着の概念を覆すような画期的な商品やった。あったかいし、涼しいし、本当に便利や」*理論戦略1
「オレも愛用しています」
「で、君も、業界の競争に勝つためだからといって、調髪料金を今より下げたくないやろ? できたら値段を上げたいぐらいやろ?」
「はい」
「そうなったら、差別化戦略しかないな」
「それ、やりましょう」
「そんな簡単に行くか!簡単やったらみんなやってる。こっから頑張って、どう差別化するかが君の挑戦なんや」
「わかりました」
【コスト・リーダーシップ戦略】
経営を行っていく上で、コストを下げ、競合他社よりも利益を確保したり、低価格で販売することで、競合他社よりも優位を目指そうとする戦略。
【差別化戦略】
競合他社の商品と比較して機能やサービス面において差異を設けることで、競争上の優位性を得ようとする戦略。