すし。
言葉にすると同じなのだけれど、こんなに違うのだね。
そうため息をつくばかりの、お腹が空いてくる、旅をしたくなる、この『すし』。
(一社)日本調理科学会 企画・編集 (著)、農山漁村文化協会、128ページ、1600円(税別)
全国いろとりどり、工夫さまざまの写真が並ぶ様子は壮観だ。なにしろ企画・編集を担ったのは50周年を迎えるという日本調理科学会。こちらの会員(大学・企業・公共機関などの研究者1300名ほど)が47都道府県の聞き書き調査を行った上で、実際につくっているというのだから最強である。
そもそもが、この学会は、2012年度から「次世代に伝え継ぐ、日本の家庭料理」の全国的な調査をしており、昭和35年から45年にその地域に定着していた家庭料理であること、次世代につなげたいと地元の人が考える料理であること、を基準に募ったところ約1900品の料理が俎上にのぼってきた。
それを「すし」「野菜のおかず」「行事食」などの16のテーマで刊行するのが「伝え継ぐ日本の家庭料理」シリーズだ。今回の「すし」を皮切りに、この貴重な記録シリーズの刊行は今後続くという。
この『すし』は、「本」と書いたが、雑誌「うかたま」の別冊で、B5判変型、全128頁カラーなので、華やかだ。目次構成は「ちらしずし・ばらずし」「巻きずし・いなりずし」「にぎりずし」「葉のすし」「押しずし・箱ずし」「姿ずし」で、それぞれ80品がそこに分類されて、一品ごとに美しい写真と共にレシピが1ページ、ないしは2ページほどで掲載されている。