ラムは挑戦する機会があれば、受けて立つ。たとえうまくいかなくても、それを失敗とは思わず、成長する機会だととらえる。「限界に挑まなければ、もがき苦しまなければ、上達など望むべくもないでしょう」とラムはいう。

 困難に挑むときや、今一歩力が及ばないとき、その体験はラムにとって貴重なものとなる。こうした経験によって、体と心の弱点が明らかになり、その弱点をどう克服するか考察できるからだ。頭と体を総動員して問題を明らかにしようとする。そしてその結果、能力の限界を押し上げることができる。

 ウェイツキン、問題と格闘して学習する生徒たち、ラム──彼らは皆、「身にしみる失敗」から学んでいる。人間がこの種の失敗をしたときに深い学びを得ることは、科学的にも広く認識されている。

 特定の問題にただ答えるのではなく、難問に挑んで失敗するほうが得るものは多い。失敗すると、人はさまざまな角度から問題を分析し、失敗した根本的な原因を突き止め、足りないスキルを磨いてその問題を解決しようとする。

 確かに、すぐに手助けしてもらえるのはありがたい。だが、すぐ答えが知りたいという衝動に負けると、挑戦しなければ得られない深い教訓を学び損ねてしまう。