「常に最高の状態でいたい」。実現するのは難しいが、高い成果をめざす多くの人にとって共通する願いではないだろうか。なんと、それを実現するための科学的方法がついに解明された!
元マッキンゼーのエリートコンサルタントと、オリンピック出場の選手を何人も育ててきたトップコーチがその方法を解明した。彼らは、脳科学から、心理学、スポーツ科学まで、最新科学のリサーチを徹底網羅し、一流に共通するいい成果を出すためのパターンを探り当てた。
その方法を実践し、時間の使い方、休み方、習慣を変えれば、誰でも「自分を最高の状態」にすることに成功し、驚異の成果を連発できるのだ。
本連載では、その成果をまとめた話題の新刊『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』から、一部抜粋して「自分を最高の状態にする方法」を紹介する。
どんな条件下なら爆発的に成長できるのか?
本書の第1章の最後(連載「第3回参照」)に、ジョッシュ・ウェイツキンという、世界レベルのチェスの神童から武術界のチャンピオンになった少年を紹介した。
ウェイツキンは、パフォーマンスを極めていくまでの過程を振り返って、興味深い洞察を得ている──「成長は限界ぎりぎりのせめぎ合いのなかから生じる。人間が学ぶのは、能力の限界を押し上げようと精一杯頑張るときだ」。
これを読んで、武術の厳しい訓練のことだと思った人もいるだろう。だが、これは彼がチェスをマスターする過程で学んだ教訓である。
太極拳と出合うずっと前から、ウェイツキンはチェスの練習でくたびれるまで心に負荷をかけ続けた。
体のトレーニング方法を別の何かに応用する指南書はたくさんあるが、ウェイツキンはその逆をやったのだ。チェスの練習哲学を武術にあてはめ、その結果、武術のチャンピオンになった。
チェスの駒の指し方とチェスの基本構造を注意深く研究するといった、心をトレーニングするときも、ウェイツキンは自分を追い込んだ。成長するためには、限界ぎりぎりのせめぎ合いをしなければならないからだ。
ウェイツキンがこの洞察を得たのは20年以上前のことだ。彼の効果的な練習方法は、今や学習に関する最新の科学によって裏付けられている。