「常に最高の状態でいたい」。実現するのは難しいが、高い成果をめざす多くの人にとって共通する願いではないだろうか。なんと、それを実現するための科学的方法がついに解明された!
元マッキンゼーのエリートコンサルタントと、オリンピック出場の選手を何人も育ててきたトップコーチがその方法を解明した。彼らは、脳科学から、心理学、スポーツ科学まで、最新科学のリサーチを徹底網羅し、一流に共通するいい成果を出すためのパターンを探り当てた。
その方法を実践し、時間の使い方、休み方、習慣を変えれば、誰でも「自分を最高の状態」にすることに成功し、驚異の成果を連発できるのだ。
本連載では、その成果をまとめた話題の新刊『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』から、一部抜粋して「自分を最高の状態にする方法」を紹介する。
「弱冠9才」で全米NO.1になった少年とは?
成長の方程式を構成する「負荷(ストレス)」と「休息」については、本書の第2~5章で詳しく説明しよう。
「体の筋肉」と「心の筋肉」にどう負荷を与え、どう回復させればいいかを学べば、1日といわず、1ヵ月、1年、いや一生を通して最高のパフォーマンスを保てるようになる。
だがその前に、負荷と休息のサイクルのすごさを実感してもらうために、この緩急のリズムを利用して心と体の両方で頂点に立った驚異的な人物の話を紹介しよう。
ジョッシュ・ウェイツキンがチェスを知ったのは、6歳のころのことだ。うんていで遊ぶつもりで訪れたニューヨークのワシントン・スクエア公園で、道の反対側で大人たちがやっていたスピーディなチェスの展開を目の当たりにして、すっかり魅了されたのだ。
ウェイツキンは、すぐにチェスボードとその上を動きまわる駒でできた“ミニチュアの世界”に夢中になり、やがてその世界の支配者になった。
ウェイツキンは、「一夜にして」といっては大げさだが、すぐにチェスをマスターした。
年配のチェスの常連にとって、最初はただの珍客でしかなかったこの少年は、間もなく彼らを打ち負かすようになる。8歳ごろから頭角を現し、親ぐらい年上の大人たちをしばしば負かすようになった。
ジョッシュ・ウェイツキンのチェスを見れば、その才能と情熱に気づかずにはいられないだろう。彼の噂はまたたく間に広まり、世界でも有数のチェスプレイヤーたちが、こぞってウェイツキンに助言や指導を申し出るようになった。
9歳になると、何度も全米制覇を成し遂げ、アメリカ国内のジュニア・トーナメントに旋風を巻き起こした。13歳で「ナショナルマスター」を獲得し、この名誉あるタイトルを獲得した史上最年少の1人となった。
さらに16歳で「インターナショナル・マスター」のタイトルを獲得。同年彼は、全米ジュニア大会で同時優勝に輝いた。プレイヤーの年齢制限を21歳までとするこの大会で、同時優勝を果たすとは。しかも、その翌年の同じ大会でも、彼は鮮やかに優勝を決めてみせる。
同じころ、パラマウント映画は『ボビー・フィッシャーを探して』を公開して好評を博した。これは、チェスのトッププレイヤーになるまでのウェイツキンの半生を描いた映画だ。