理科大サイエンス道場がオープン

 2015年秋、葛飾キャンパス図書館棟1階に「理科大サイエンス道場」がオープンしました(下図)。

セントレアと東京理科大の<br />“曇らない”ガラスには<br />光触媒が活躍していた!理科大サイエンス道場(東京理科大学葛飾キャンパス図書館棟1階)

 本多光太郎初代学長の言葉である「学問のあるところに技術は育つ、技術のあるところに産業は発展する、産業は学問の道場である」をコンセプトに、東京理科大学の最先端の研究を紹介する施設で、一般の方々も常時見学できます。

 この施設の一角に、光触媒の基本作用を体験できる「光触媒体験コーナー」が設けられていて、現役の理科大生の解説を間近で聞きながら、雨の日も曇らない光触媒ガラスの効果を体感することができます。

 建物の外側に面した一面に、光触媒ガラスと普通のガラスが並べて施工されていて、上部から擬似的に雨を降らせるシャワーがついています(下図)。

セントレアと東京理科大の<br />“曇らない”ガラスには<br />光触媒が活躍していた!普通のガラスと光触媒ガラスの比較

 理科大生の説明員が解説をしながらボタンを押すと、このシャワーが作動し、普通のガラスは多数の水滴で覆われ、雨の日の窓ガラスを室内から見ている状態になります。

 一方、光触媒ガラスの部分は、光触媒の超親水性効果により、水が水滴とならずに一様に濡れ広がり、良好な視界が保たれたままです。

 また、シャワーを作動させるたびに、表面の汚れも洗い流されていますので、乾いた状態で比較しても、光触媒ガラス面のほうが透明で、キレイな状態が保たれています。

 まだ行かれたことのない方はぜひ一度訪れて、光触媒の実力を体験していただきたいものです。

 光触媒を発見して今年で50周年。いまや東海道・山陽新幹線の光触媒式空気清浄機、成田国際空港の光触媒テント、パナホームの一戸建てからクフ王の大ピラミッド、ルーブル美術館、国際宇宙ステーションまで、その活躍の場は多岐に及んでいます。
 本書には、その基本から最新事例まで140点以上の図表と写真が掲載されています。ぜひご一読いただければと思います。

藤嶋 昭(Akira Fujishima)
東京理科大学学長
1942年生まれ。1966年、横浜国立大学工学部卒。1971年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1971年、神奈川大学工学部専任講師。1975年、東京大学工学部講師。1976~77年、テキサス大学オースチン校博士研究員。
1978年、東京大学工学部助教授。1986年、東京大学工学部教授。2003年、財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長。2003年、東京大学名誉教授。2005年、東京大学特別栄誉教授。2010年、東京理科大学学長(現任)。現在、東京理科大学光触媒国際研究センター長、東京応化科学技術振興財団理事長、光機能材料研究会会長、吉林大学名誉教授、上海交通大学名誉教授、中国科学院大学名誉教授、北京大学客員教授、ヨーロッパアカデミー会員、中国工程院外国院士。これまで電気化学会会長、日本化学会会長、日本学術会議会員・化学委員会委員長などを歴任。
【おもな受賞歴】文化勲章(2017年)、トムソン・ロイター引用栄誉賞(2012年)、The Luigi Galvani Medal(2011年)、文化功労者(2010年)、神奈川文化賞(2006年)、恩賜発明賞(2006年)、日本国際賞(2004年)、日本学士院賞(2004年)産学官連携功労者表彰・内閣総理大臣賞(2004年)、紫綬褒章(2003年)、第1回The Gerischer Award(2003年)、日本化学賞可(2000年)、井上春成賞(1998年)、朝日賞(1983年)など。オリジナル論文(英文のみ)896編、著書(分担執筆、英文含む)約50編、総説・解説494編、特許310編。