当初は歓迎されたのに
市場の飽和で「もういいよ……」
先日、みずほフィナンシャルグループが構造改革案を公表し、AIなどで効率化を推進して業務量を減らし、2026年度までに従業員数を約1万9000人削減する方針を打ち出しました。また、三菱UFJフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループも業務量削減の方針を明らかにしています。
都市銀行の低迷で、エリートイメージのあった銀行員がこれからたくさん転職市場に出てくることが予想されます。実際、すでに転職市場には某大手都市銀行出身者が出始めています。
似たような状況は東日本大震災後にもありました。人員削減に追い込まれた某大手電力会社(以下A社とします)の社員が大量に転職市場に出てきたのです。
A社出身者に対し、当初は企業からの人気は非常に高いものがありました。原発事故を起こす前は就職難易度の高い優良企業で、優秀で学歴も高い人が多かったからです。ところがある程度時間が経過すると「A社出身者はもういいよ」という雰囲気が市場に漂うようになりました。需要が満たされて飽和したのです。
A社を辞めるのが遅かった人が人材として魅力がなかったわけではありません。むしろ、最初の頃に退職した人たちよりもはるかに責任感が強く、自分がやるべき仕事を終えてからでなければ転職などできない、という人たちもいました。しかし、転職市場の状況との関係で割を食ってしまった面があるわけです。