生え抜きの野村氏は、2012年に鴻海が資本参加した液晶会社、SDPの会長を務めたことで郭台銘・鴻海会長の目に留まり、鴻海の傘下に入ったシャープの代表取締役になった。

 高山氏は、鴻海の日本法人トップを務めた経験があり、戴社長とは縁戚関係にあるが、鴻海中枢を知り尽くしているとは言い難い。郭会長の通訳としてシャープ買収の交渉団の一人となり、買収後にシャープ代表取締役に就いた。

 そして石田氏は元ソニー幹部。ソニーがパソコンやテレビの生産を鴻海に委託したときの責任者で、それを受託する鴻海の日本担当を務めていたのが戴社長。そうした「縁」から鴻海傘下のシャープ経営陣に食い込んでいる。

テレビも液晶も鴻海頼み

 シャープが劇的に業績を改善させた背景には、テレビ事業の損失を移転したSDPをシャープから切り離すという鴻海グループ挙げての支援がある。

 4年ぶりの最終黒字を計画する今期は、液晶テレビの販売増加が寄与しているが、これも中国向け液晶テレビを鴻海が買い取っているのが実態だ。

 鴻海は買収から1年半もたたずに、シャープを鴻海依存の体質に変えた。実際、シャープの業績は鴻海のグループ内取引で大きく変動する。それ故、シャープ社員の最大の関心事は、次の社長が日本人であることよりも、台湾本社との交渉力があるかどうかだ。

 とはいえ、後継レースが本格化するのはまだまだ先だ。戴社長は20年3月期まで経営に関与する方針で、「外部人材」も後継候補とする可能性を示している。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)