AI開発に求められる 
日本オリジナル

――今の日本には、AIやロボティクスといった技術が、急速に発展し過ぎることに不安を感じている人も多くいます。

パトリック それは当然の不安だと思います。しかし、日本にはそこを越えていくポテンシャルがあるとも思います。世界の先進国を見渡してみても、日本ほどロボットのことを友好的に考えている国は他にありません。ハリウッドのSF映画に出てくるロボットを思い浮かべてみればいいでしょう。海外の人々が描くAIやロボットは『ターミネーター』シリーズのように、恐ろしい格好をしていて全人類を滅亡させようとするようなものばかりです(笑)。

 ところが、日本で描かれるロボットの多くは人間にとても友好的で、人間もロボットに対して友好的です。これはこれから重要になってくるロボット観だと思います。

――そう考えると、日本人のロボット好きはドラえもんやガンダムのおかげかもしれません。

パトリック 想像の世界の話だけではありません。例えば「たまごっち」のようなゲームだって、ロボットのペット的な発想の延長から生まれたものですよね。繰り返しになりますが、日本人ほどフレンドリーなロボット観を共有している国民は他にはいません。だからこそ、本来なら日本はAIやロボット開発の分野でもっともっと前に出て、世界には類を見ない、日本独自のアプローチを示さないといけません。でも、産業用以外のロボット開発では、現実はそうなっていないことを本当に残念に思います。

――ロボットやAIの分野以外では、日本はどんなテクノロジーの分野に文化的な適性があると思いますか。

パトリック いろいろ考えられますが、一番は環境問題ですね。実際に長く住んでみて実感していますが、日本にはスピリチュアルなパワースポットがたくさんあります。例えば、高野山や熊野古道、奈良や富士山や箱根……そういった場所に実際に足を運んでみると、日本人が昔から自然といかに共存して生きてきたのか、身に染みて分かります。私は、そんな日本人の素晴らしい自然観を、もっともっと世界に向けて発信すべきだと思います。

 私が考える人間とテクノロジーの理想的な関係は「支配」じゃなくて「調和」です。数式で例えると「1+1=11」の世界です。最初の「1」は人間を表していて、2つ目の「1」はAIやロボットといった新しいテクノロジーを表す。人間とテクノロジーがお互いの良さを生かした上で共存することができれば、コレクティブインテリジェンス(個人個人ではなく、1つの集合体としての「知」)を創り上げることができて、世界はもっと素晴らしい場所になる。それが“11”の意味です。