ストリンガー体制も7年目に入り、エリクソンやサムスン電子との合併解消といった、事業再編の動きが盛んになっている
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 オリンパスの資本・業務提携先として、ソニーが名乗りを上げる準備を着々と進めている。複数のソニー関係者は、オリンパスへの出資について検討が進んでいることを明かし、「買収のチャンスは大きい」と野望をのぞかせた。

 ソニーは水面下で、医療事業強化のために1月1日付で、吉岡浩副社長(プロフェッショナル事業担当)に、医療関係の全レポートを集める体制に変更。その狙いの一つが「オリンパス買収が実現した場合の受け皿づくり」だという。

 医療業界において、ソニーはコアビジネスにタッチできない“業者”の一つにすぎず、売上高も年間200億円前後とわずかだ。そのうえ、「人体に入り込むような命にかかわるビジネスはやらない」という長年の不文律も存在する。

 それにもかかわらず、オリンパスに強い関心を示す背景には、「電子の眼」であるイメージセンサーと呼ばれる半導体事業がある。

 近年、暗闇でも明るく撮影できる「裏面照射型」イメージセンサーの量産に成功し、アップルの最新型スマートフォン、iPhone4Sのカメラ向けで全量受注するなど、スマホ用途で他メーカーからも引っ張りだこ。主力のテレビ事業は8年連続の赤字を計上する見通しのため、収益を下支えする「イメージセンサーの次の使いどころを見つけるのが急務」(ソニー幹部)。その有力候補が、内視鏡を含む医療事業なのだ。

 そして、その後押しになるとソニーが考えているのが、最近特に深まっている経済産業省との蜜月関係だ。2010年にイメージセンサー増産の設備投資で、経産省が用意した助成金を活用しているほか、経産省が立ち上げる委員会や部会などには、よくお呼びがかかっていて「信頼関係が厚い」(複数のソニー幹部)という。

 その傾向は医療事業も例外ではない。経産省が旗振り役となり、昨年立ち上げた「ヘルスケア産業プラットフォーム推進委員会」の委員には、家電メーカーで唯一、ソニーだけが名を連ねているのだ。

 この委員会は将来的に経産省が予算をつけて、国外に医療事業を輸出しようというもの。ソニーについては、傘下のソニー生命保険を含めた幅広いビジネスの可能性も検討されているという。

 こうした追い風がある一方で、社内には「医療といえば響きはロマンチックだが、そんなに甘くない」(ソニー幹部)という慎重論もある。過去にHOYAをはじめ、複数の医療メーカーの買収や提携を検討したというが、「一度参入したら簡単に撤退できない世界。家電とは訳が違う」という。

 外部からも「独立を重視するオリンパスと、うまみのある提携ができるのか」という疑問の声があり、上場維持や増資の有無も含め、ソニーの目論見どおりに進むかどうか、まだまだ不透明な点が多い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義、鈴木崇久)

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