このような米国の指導力の放棄はいたるところで「力の空白」を生み、その空白を埋めるための地域内での争いや、あるいは、ロシアや中国の活発な活動を招来することになる。

 昨年12月に発表された国家安全保障戦略は米国の「力」の役割を強調するが、果たしてどこまで政策に反映されるかは疑問である。

 米国の主導の下で築かれてきた民主主義と市場主義を中核とするリベラルな国際秩序は徐々に崩れていくリスクが大きい。

依然、残る朝鮮半島の戦乱リスク
北朝鮮は日米韓の分断図る

 朝鮮半島情勢も予断を許さない状況が続くだろう。

 北朝鮮が核兵器を放棄するための外交交渉に応じないとすれば、結果は二者択一しかない。

 北朝鮮を事実上の核保有国として認知するか、軍事的行動により解決を求めるかの二者択一である。

 北朝鮮を事実上の核保有国として認知することは解決とはならず、情勢の一層の不安定要因となる。即ち北朝鮮のこれまでの行動を見れば北朝鮮が核を脅しに使う可能性は高く、韓国では自国の核武装が現実味を帯びていく。

 そうなれば地域情勢は著しく不安定となる。

 軍事的衝突に至るのは、北朝鮮がさらなるミサイル・核実験をエスカレートさせ、一方で安保理制裁が最大限まで強化され、米国の軍事的圧力が限界点を越え、行動せざるを得なくなる場合である。

 これは米国本土に届く核戦力を米国が自国に対する真の安全保障リスクと捉えるからである。

 この場合には米国の先制攻撃があってもおかしくないが、攻撃によりすべての反撃能力を封じることは不可能であり、朝鮮半島で本格的な軍事衝突に至る可能性は高い。

 この場合朝鮮半島だけではなく日本にも大きな被害が予想し得る。これ以外に、北朝鮮の韓国に対する軍事的挑発が限定的な戦闘に至る可能性も排除できない。