モーターを回して走る電車は通常、線路の上に架設された電線(架線)から電気の供給を受けている。車両の屋根には「パンタグラフ」と呼ばれる集電装置を設置。これを架線に押しつけることで電気を取り込んでいる。正確には「架空電車線方式」と呼ぶ。 

第三軌条方式の鉄道では線路の脇に電気供給用のレール(サードレール)を設置している

  一方、銀座線では「第三軌条方式」と呼ばれる集電方式を採用している。2本のレールの脇に、電気を流すためのレール(サードレール)を設置。車両の下には「集電靴」と呼ばれる集電装置を設け、これをサードレールに擦らせる。東京メトロの路線では、最初に開業した銀座線と2番目に開業した丸ノ内線が、この方式だ。

1000系の台車に設置されている集電靴。これをサードレールに擦らせることで電気を取り込む

 第三軌条方式は架線を張るスペースが不要。このため、トンネルを小さくすることができ、工費を節約できるという利点がある。線路のほぼ全てがトンネルになる地下鉄では、とくに有用な利点だ。

レールの「途切れ」で停電
車内灯が順番に消えていく

 ただ、線路の脇には信号関係の機械を収めた箱や、線路が二手に分かれる場所(ポイント)に設置した方向転換の機械、作業員の待避所なども設置しなければならない。これらを設ける場所では逆にサードレールが途切れ、電気の供給を絶たれる部分が出てきてしまうのだ。 

東京メトロの中野車両基地内にある線路。ポイントを操作する転てつ機(緑)がある部分はサードレール(赤)が途切れている

 とはいえ、サードレールの「途切れ」は大きな問題にはならない。サードレールのない部分をできるだけ短くすればいいからだ。銀座線の場合、1両の長さが約16mで6両編成。集電靴は1両ごとに設置されている。たとえば「途切れ」の長さが16mなら、一つの車両の集電靴がサードレールから外れたとしても、サードレールに触れている他の車両の集電靴から電気を取り込むことができる。

 しかし、銀座線の旧型電車の車内灯は、サードレールから取り込んだ電気を直接使用するタイプのもので、その配線も1両ごとに独立していた。このため、サードレールが途切れる部分に列車がさしかかると、先頭から1両ずつ順番に車内灯が消えてしまった。その代わり、壁に設置したバッテリー電源の予備灯で車内を照らすようにしていたが、予備灯は天井の車内灯より光量が少ない。車内は通常より暗くなってしまった。

 瞬間的とはいえ、暗闇に支配されるトンネル内での消灯は問題が多い。銀座線に続いて開業した丸ノ内線の車両では、補助電源装置を搭載。車内照明は交流発電機で得られた電気を使うようにしたため、サードレールが途切れても車内灯は消えないようになった。銀座線でも、編成中の車両の配線をつないだ01系電車が1983年にデビュー。旧型電車は1993年までに全て引退し、瞬間消灯は姿を消した。