ちなみに、サンタクロースが世界に向けて出発する場所としては、他にグリーンランド説もある。グリーンランドはデンマークの領土である。そして北欧三国と同じくデンマークが(そしてアイスランドも)北欧に区分されているというのも、社会人として知っておいて損はない。

 さらに親切なのは、Aのイラストに描かれている小人のような妖精。これはノルウェーの伝説に登場する「トロール」という妖精だ。トロールは北欧一帯に共通する伝説上の生き物なのだが、ノルウェーでは主に小人のような姿で、フィンランドでは邪悪な動物として描かれる。

 受験生の世代にわかりやすく説明すると、『ベルセルク』(白泉社)という漫画の中で、主人公一行がある村でトロールに襲われるというストーリーがある。そこに登場するカバのような邪悪な妖怪がフィンランド版のトロールであり、それをゆるキャラ的に可愛くデザインしたのが、トーベ・ヤンソン氏が描いたムーミンだ。

 つまりムーミンのモチーフはカバではなく、もともとトロールという妖精だと知っていれば、設問のイラストに描かれたトロールの外見の違いにより、正しい組み合わせを判断できるということだ。

ムーミン問題バッシングは
「中二病」かもしれない

 つまり言いたいのは、「知識人であれば、いくつもの手がかりによって正解を導き出せる問題」であって、ムーミンに関する知識だけを問う問題ではなかったということだ。それを「ムーミンの舞台がフィンランドだと知らなければ大学に入れないのか」と批判するのは、はっきり言えば「因数分解が社会の何に役立つのか」と主張する「中二病」と同じである。

 さらにとどめを刺しておくと、この問題、正解の選択肢は(タ)「ムーミン」と(B)「パリヨンコ セ マクサー?」の組み合わせだった。つまり正答は「タB」=「旅」ということで、設問冒頭に事例として挙げられた『ニルスの不思議な旅』にそもそものヒントが隠されていたのではないかという、遊び心に富んだ問題だったのだ。この面白さがわからないうちは、まだまだ「オトナ」とは言えないのだ。