“輸出型”の欧州経済
中国・アジア向けが増加

 ここで、これまでの連載で繰り返しお伝えしてきましたが、世界経済がこのところ上振れ気味で推移していることについて改めてご紹介します。

 まず、OECDの景気先行指数は世界的に上昇しています。また、国際通貨基金(IMF)も、昨年10月の経済見通し改定時に、その3ヵ月前の7月に発表した経済見通しを上方修正しています。特徴は、幅広い国・地域で上方修正されていることです。今の景気回復が、いかに地理的に見てすそ野が広がっているかがうかがえます。

 この動きは、貿易統計でも確認できます。オランダ統計局が集計している世界貿易量を見ると、貿易量の前年比は16年は概ね1~2%で推移しましたが、その後回復に転じ、17年後半は概ね前年比5%増のペースで増加しています。

 また、輸出の反対である輸入の前年比の伸びは、新興アジアを中心として幅広い地域の輸入が伸びていることが分かります。

 輸入元としては、特に中国などのアジアが堅調です。昨年の中国経済は、金融市場参加者の予想以上の経済成長を見せました。中国やアジアは、日本からの輸出にとって重要な市場ですが、ユーロ圏にとっても極めて重要です。その地域の経済が上振れれば、実質所得が増加して需要が増える「所得効果」として輸出の増加につながります。

 なお、輸出データを品目別に見ると、回復している産業や需要分野が分かります。国連のデータを使って昨年夏ごろの日米欧の輸出を品目別で見ると、化学、金属製品類、機械類といったものの輸出が特に回復していることが分かります。これは世界的に設備投資が回復していることを示唆します。確かに、日米独の資本財受注や工作機械受注のデータを見ても設備投資は足元で堅調に回復してきており、世界的に回復していることが分かります。

 日本と同様、機械製造の競争力が高い欧州にとって、設備投資の回復は輸出の回復に直結します。たとえば、ドイツから中国への輸出の内訳を見ると、輸送、機械・電気設備、化学といった品目の伸びが大きくなっており、投資の回復が輸出の増加につながっていることがうかがわれます。

 なお、ユーロ圏と日本を比較すると、GDPに占める輸出の割合が日本は15%程度なのに対し、ユーロ圏ははるかに高い(ドイツの例では50%程度)ため、輸出が回復すると経済への影響はユーロ圏のほうが圧倒的に強くなります。