トップ営業マンといえば、かつては購入を渋るお客さんでも長時間に渡って説得し、「いつでもどんなものでも売る」というイメージだった。しかし、時代は変わり、強引な営業は通用しなくなった。むしろ、トップ営業マンと言われる人ほど「なかなか商品を売ってくれない人」になっている。その理由や背景について、かつて住宅メーカーのダメ営業マンからトップ営業マンになった経験を持つ筆者が実例を踏まえて解説する。(営業サポート・コンサルティング代表取締役、営業コンサルタント 菊原智明)
一昔前のような
強引な営業手法は通用しない
トップ営業マンというと“いつでもどんな人にも売ってしまう”といったイメージがあるだろう。実際、過去にお会いした凄腕営業マンで「会うことさえできれば絶対に商品を売ることができますよ」と言っていた人がいた。
商談のテーブルに載りさえすれば、ほぼ100%売ってしまう。時には渋るお客様に対して粘りに粘り、深夜の2時に契約書にハンコを押してもらったという話も聞く。
確かにすごい話だ。
一昔前であれば、身近にどんな状況でも売ってくる営業マンが一人くらいはいたものだ。あなたの会社にもそのような営業マンが過去にいたかもしれない。しかし、今は深夜まで粘ってハンコをつかせる営業マンはほぼ存在しない。
実際、《自分がお客様の立場だったら…》と、考えると恐ろしくなる。こんな“武勇伝”もお客様からすれば迷惑以外の何物でもない。当然、こんな営業手法がいつまでも通用するわけがなく、今ではこの手の営業マンの噂をすっかり聞かなくなった。