太陽系で一番氷のあるところは?

 最後にこんな問題を。「太陽系内で、もっとも多く氷のあるところはどこでしょう?」

 ちなみに地球上には水が1.4×10の21乗kgありますがそのうち、氷は大部分が南極大陸と氷河にあり、全体の1.7%、2.4×10の19乗kgに過ぎません。

 太陽系では一番内側の水星を含め、ほとんどの惑星に水や氷の存在が確認されていますが、一般的には内側は岩石中心で、外側の惑星にメタンやH2Oが多く含まれます。中でも氷惑星と呼ばれる天王星は全質量の3~5割が氷と推定されていて、その量は4~6×10の24乗kgに達します。

 天王星は極寒の巨大惑星です。直径が地球の4倍、体積だと(4の3乗で)64倍もあるので、まあこの量も当然です。

 一方、カリストは木星の衛星(*9)に過ぎず、直径も地球の4分の1程度ですが、それを覆う氷の層は約200kmに達します。カリスト上の氷の量は約6×10の22乗kgで、地球上の全H2O量の40倍以上!

 氷でぶ厚く覆われた衛星は他にも、木星のエウロパやガニメデ、土星のエンケラドス(*10)などが有名です。

 その氷たちは、絶対零度の冷気から内部を守ります。そして熱を中に留めることで液体状態のH2O、つまり水を保持しているのかもしれません。

 エウロパ、ガニメデ、そしてエンケラドスにもし生命がいるとしたら、それはきっと氷のお陰です。「増え」て浮かび、熱を多く「与える」ことでなかなか凍らない氷こそが、星を守っているのです。

2月2日訂正:凝固熱のあり方の勘違いのために「与える」とすべきところを「奪う」としていました。読者諸氏からのご指摘に感謝します。
2月15日追記:氷の体積膨張における説明及び、図のライセンスを付記しました。

*9 ガリレオ・ガリレイが1610年に発見。木星の他の3つ(イオ、ガニメデ、エウロパ)の衛星とともにガリレオ衛星と呼ばれる。
*10 内部には熱源があり、一部は80℃以上に達する海が衛星全体に存在する。

参考情報・サイト
・「氷の新しい融け方を発見:2種類の異なる表面液体相の生成」佐崎 元(2012、北海道大学HP)
・「氷の表面はなぜ濡れるのか? ? 氷の表面を覆う秘密のヴェールをはぐ村田憲一郎(2017、Academist Journal)
・『新版 氷の科学』前野紀一(2004、北海道大学出版会)
・「氷がすべるのはなぜか??本当の理由」(2015、ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊
・「#20 水の惑星」長沼毅(Webマガジン幻冬舎、教科書には絶対載らない”超訳”科学の言葉)
・Wikipediaの各惑星・衛星の項目

(K.I.T.虎ノ門大学院 教授 三谷宏治)