iPhone Xの減産より以前から、各社報道ではその不振が囁かれていた。2017年のブラックフライデー(感謝祭後のセール期間)で、最新のフラッグシップモデルであるiPhone Xの売り上げが思ったより伸びず、むしろ旧モデルであるiPhone 7のほうが売れた(売上が落ちなかった)こと。中国市場でもiPhone 8、iPhone Xなど新モデルが発表になったにもかかわらず、旧モデルの売り上げがあまり落ちていないことなどが指摘されてきた。

 総じてFace IDや有機ELディスプレイ、高精度カメラ、顔の表情を読み取ってアイコンのキャラクターの表情を変える「アニ文字機能」など、意欲的な機能を満載した最新デバイスは、市場にはあまり受け入れられなかったようだ。iPhone Xの標準価格が999ドル(日本では11万2800円)。iPhone 8が約700ドル。海外ならビジネスPCが十分に買える値段だ。いくらPC並みかPC以上の機能を持っているとはいえ、通信コストもかかるスマートフォンに1000ドルはなかなか出せないというのが、先進国を含むグローバルマーケットの本音なのだろう。

日本の特殊な端末割賦制度と
アップルの旧モデル販売事情

 北米や日本では、2017年のiPhone Xの出荷は好調で、日本国内各キャリアも発売開始当初は、iPhone 7と比較して予約数が5~8倍あったといい、その後も順調に売れているという報道もあった。しかし、新機種より旧モデルが売れているという傾向は、実は日本でも言われていることだ。

 とくに日本の場合、違約金が発生する割賦販売という、キャリアが提供する独特な料金プランによって買い替えサイクルが2年ごとになっている。アップルの新製品はほぼ1年ごとに発表される。つまり国内でiPhoneの新機種が出たときに買い替え需要が期待できるのは、2代前のモデル(今回ならiPhone6系)のユーザーという傾向だ。

 もっとも、アップルは新製品を出したあとも、ニーズのある旧モデルの販売を止めるわけではないので、新モデルが出ても古い端末が売れることは不思議ではない。ユーザーにとってもさまざまな価格帯の端末が選べることになる。アップルとしても新興市場などでニーズがあるなら、開発費や広告コストの回収や償却が進んだ製品については、利益率が上がるので継続販売の意味はあるだろう。