3つに分割して覚えれば
文法の学習がわかりやすくなる

 このように単純明快だからこそ、文法は簡単だという錯覚が生まれる。どんな複雑な形の言語でも、必ず3つのうちのどれかに分類できる

 試しに、「飼いイヌが私の宿題を食べた」という文を、英語の能動態と受動態で見てみよう。この文を能動態で表すと、「My dog ate my homework」となり、受動態では「My homework was eaten by my dog」となる。

 これはずいぶんと複雑な変換だ。見た目に似ているとはとても言えないし、意味も微妙に変わる。どちらの文も同じ事実を伝えているとはいえ、能動態のほうでは「イヌが悪さをした話」という印象を受け、受動態のほうでは「宿題がかわいそうな目に遭った話」という印象を受ける。

 だがこうした複雑さはすべて、単純な操作の産物だ。受動態になることで、単語が2つ足され(wasとby)、1つの単語の形が変わり(ateがeatenになった)、語順が変わった。これらを一度に学ぶとなるとたくさんに感じるが、変化ごとに1つずつ覚えることなら簡単にできる。外国語の文法は、このように分割して学ぶのがいちばんだ。