経営 × 人事評価

部下をやる気にさせる、対話による
「コーチ型マネジメント」の極意とは?

上條昌史
2018年3月1日
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部下自身が主語になる問いかけをして
対話を楽しくする

 部下に話をさせる有効な方法は、1対1で部下と話をする時間をつくることだ。

 「実際のコーチングでは、1~2週間に1回、15分から30分、定期的に部下と話をする時間をつくることを提案します。なぜ1対1が重要なのかというと、部下が、上司が自分だけのために時間をつくってくれる、自分の話をきちんと聞いてくれる、自分に関心を持ってもらってくれている、と感じることができるからです」 

 コーチングにおける重要な要素に、承認がある。承認とは、相手の存在を認める、受け止める、肯定するという意味で、“相手の話を聞く”ことは“相手に対する最大の貢献”になる。その結果、部下は“自分は大切に扱われている”と感じ、自己肯定感が生まれる。それが、自発的、能動的、主体的な動きに繋がってゆくのだ。
 
 では、その短い時間内に、上司はなにを聞けばよいのか。テーマはふだんと同じ、業務内容のことでかまわない。ただし質問するのは、「あの件はどうなった?」などの確認ではなく、その部下自身の考えや未来のこと、たとえば「この仕事をしていて楽しいかどうか」「この仕事で目標を達成したら、その先に何を期待しているのか」「そもそも入社したときは何をやりたかったのか」などの質問をぶつけていく。

 「その部下を話の主語にする、主人公にすることが大切なのです。仕事が主役ではなくて、あくまで“人”に対する質問をする。対話を楽しいと感じるのは、自分に焦点が当てられて話をするとき。そこから新たな気づきを得たり、アイデアがひらめいたり、心がわくわく躍動するから、対話を楽しいと感じるのです」

 さらには部下の「自己基盤(データベース)」への質問も有効だ。たとえば、職場内の人間関係や、人生観や価値観、家族の状況や、今困っていること、ストレスの原因や日々の体調など。上司がこれらの情報を持っていれば、コミュニケーションの幅が広がる。お互いを理解するまで対話を行うことで、信頼感や安心感が醸成されるのだ。

 もっとも、聞いてもすぐに答えない部下もいる。その場合、話を聞くポイントは、沈黙を有効的に使うこと。上司が沈黙を破ってしまうと、部下の話す機会は失われてしまう。「時間はあるから、ゆっくり考えて。それまでは黙っているから」と言えば、部下は安心して自分の意見をまとめることができる。

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