当面の間、世界市場におけるEV需要は中国政府によるEV普及政策、NEV法(新エネルギー車規制法)の影響を強く受けるため、EV用リチウムイオン二次電池の価格は、中国最大手のCATLや第2位のBYDなどの事業計画によって、大きく左右されることになるだろう。

航続距離を伸ばす必要はあるのか?
EVの「種類」の再認識が進む?

 こうしてEV用リチウムイオン二次電池のコストダウンが進むことで、自動車産業界で議論が高まってきたのが、「EVに長い航続距離は必要か?」という点だ。

 EVが普及しない理由として、ガソリン車やディーゼル車並みの航続距離がない点が挙げられることが多い。新型日産リーフのカタログ値では航続距離を満充電で400kmとしているが、暖房の利用や、電池の経年劣化などの影響で航続距離はカタログ値に達しない場合が多い。

 そうした中で、電池の価格が下がり、また同じ体積でエネルギー密度が上がることで、より多くの電池を積んで航続距離を伸ばそう、という発想が生まれる。こうした考えを強調しているのがテスラだ。

 一方で、今回のルノーの発表であったように、今後はEVを市街地向け、中距離向け、そして高級車といったカテゴリーに明確に分類することで、電池コストダウンのメリットをユーザーがより分かりやすく感じるようにするべきではないか、という議論が活発になってきた。

日産リーフ。北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)2018年での展示風景 Photo by Kenji Momota

 至極当然な議論だと思うが、第五次EVブームのさなか、ようやく自動車業界関係者が、地に足が着いたように筆者には思えた。

 なお、最近何かと話題の、次世代EV用として期待が高まる全固体電池だが、現時点では研究開発の域を超えておらず、仮に量産が始まっても、ある程度の普及が進むのは2020年代後半以降という意見が主流だった。全固体電池については別の機会に詳しく紹介したい。

(ジャーナリスト 桃田健史)