しかし、この場合、全員を集めてヒアリングすることがゴールではなく、部下全員を集めて問題提起や意見を引き出し、それをどう受け止め、実行していくつもりなのかという、リーダーとしての「方策と実行」が求められているのです。

 この「方策と実行」とは、私たち産業カウンセラーが、問題解決をサポートするときのプロセスにおいて、重要視する大切なポイントです。

 カウンセリングの現場においては、「傾聴」によって相手の考えていることを明確にし、問題を「把握」したら、次は、具体的にどのように解決していくかを考えるフェーズ「方策と実行」へ移行します。

 ところがM課長の場合、メンバー全員の意見を平等に引き出すことばかりを優先しています。決して間違ってはいませんが、それで終わってしまっては、意見の言いっぱなしで終わってしまい、意味がありません。

「何を」「いつまでに」「誰が」
「どのようにしていくのか」を決める

 では、どのようにすればいいのでしょうか。例えば、こんな感じです。

宮本実果さんが10年間で6000件のカウンセリング実績に基づいてまとめた「仕事は人間関係が9割」(クロスメディア・パブリッシング)

「今日の会議では、お互いの考えを出し合った上で、合意形成をしていきます。そのうえで、“何を”“いつまでに”“誰が”“どのようにしていくのか”について方針を伝えるところをゴールにしたいと思います」

「では、会議のルールを説明します。お互いに意見は否定せず、相手の話を受け止め、誰かだけが発言せず、みんなが発言するように進めていきましょう」

 このように、会議の目標とゴールが明らかになったことにより、部下たちは共通のゴールに向かって互いの意見を出しやすくなります。

 最後に、M課長から今日の会議のゴールである「明確な方針」を部下たちに伝え、次の会議の日程を決めて終了です。

 このように、会議の最後に部下たちとの合意形成をもとに、明確な指針を伝えることにより、信頼関係構築のフェーズから「方策と実行」へとつながるわけです。

 管理職の方にとって会議は避けては通れないもの。傾聴スキルをベースとした丁寧なファシリテーションスキルと決断力によって、部下との信頼関係を築いていきましょう。