なぜ「上司の情報量」で、チームの成果が決まるのか?

 部下がうまくいかなくなるのは、視野が狭くなってくるときです。そんなときに、マネジャーまでずっと会社にいて、外からの情報がまったく入ってこない、世の中で何が起きているのかもわかっていないような状況を作ってしまったらどうなるか。

 どうしても会社人間になってしまいます。みんな忙しいし、やらないといけないこともあるし、居心地はいいし、と社内に居ついてしまう。そうすると、組織そのものがどんどん内向きになってしまいます。

 だから、私は外に出て行くようにしています。空いた時間に外の世界に出て行く。他の世界の人に会ってくる。それが、内向きになった組織の視野を外に向けていくのです。

 私はまた、話題になっているものは、必ずチェックするようにしています。雑誌も読むし、ベストセラーの書籍も読む。テレビも、視聴率が高いものは見ておく。また、『プロフェッショナル 仕事の流儀』『ガイアの夜明け』など、ビジネスドキュメンタリーもチェックする。

 まったく違う業界の人たちに会えるような場にもよく顔を出しました。勉強会やセミナー、ちょっと挨拶に来てほしいと呼ばれる場。頼まれたり、誘われたりしたら必ず行く。

 挨拶だけで名刺交換だけのこともありますが、それでもつながりを作ることができます。後でお礼状を書いて連絡をする。食事の場で一緒になって、意気投合したりすることもあります。

 一方で、業界の中で他社と交流する場面もありますから、そういうところにも積極的に顔を出していました。人脈もできますし、何かしら得るものがあるものです。

 そういうところから、ずっと会社の中にいたのでは、見えてこないものが見えてくる。それを、社内に発信していくのです。新しい情報、新しい技術、新しいトレンド……。

 持ち帰った情報を社内で発信するときは、できるだけ情報だけに終わらないように気をつけていました。その情報をもとにすると、どんなふうに使えるか、たとえば、お客さまとの商談にこんなふうに語れるのではないか、といったところまで落とし込んで話をしていました。

 点の話で終わらせるのではなく、次につながる話にしていく。自分にどう活きるのか、具体的に自分の中に落とし込めるように話をしていく。そういうアウトプットをしていくことが、マネジャーには求められます。