ちなみに、相手の立場を考えるというのは重要なことだが、就活においても役に立つ。就活時の面接官は、諸君からみれば“雲の上の人”だろうが、サラリーマン社会の最下層で「変な学生を採用したら上司に怒られる」という恐怖心に怯えている人が少なくないのだ。そう思えば、緊張感も少しは和らぐであろう。
面接で聞かれるのは
自己アピールと志望動機が中心
就職試験の面接で主に聞かれるのは、「大学時代に勉強面で頑張ったこと」「勉強以外で頑張ったこと」「自分の長所」「志望動機」である。志望動機については、次回に記すとして、前の三つは基本的に自己アピールだ。
どこまで正直に話すか迷うところだろうが、在宅時と外出時で服装も表情も異なるように、「よそ行きの自分」を見せるのは当然だ。「嘘をつけ」とは言わないが、自分に都合のいいことは大きな声で話し、都合の悪いことは聞かれるまで言わなくていい。
その際、重要なことは、新卒採用の就職試験は、基本的に「ポテンシャル採用」ということだ。「今の自分に何ができるか」よりも、「この学生を鍛えれば立派な社員になれそうか」が見られているのだ。
たとえば筆者は大学時代、法学部で刑法や憲法などを学んで、銀行の就職活動に臨んだ。面接官が筆者を「銀行業務に役立たない無駄な知識だけ持っている役立たず」と捉えるか、「無味乾燥な六法全書を丸暗記する努力家で、多数の判決文や学説を読みこなし、物事を論理的に考える訓練を積んで来た学生である」と捉えるか、そこはアピールのしかた一つだろう。