売上が大きいからといって、
必ずしも優良企業とは限らない
連載第6回は、前々回、前回に続いて、就活における志望業種の選択に必要な視点について考えてみる。今回ポイントとなるのは、各業種における売上と従業員1名あたりの売上の上位企業の顔ぶれ、および断トツ企業の有無や寡占状況である。
今回のテーマは、売上の大きい企業だからと言って、必ずしも生産性(従業員1名当たりの付加価値)が高いとは限らず、むしろ、中堅規模の企業のなかに、生産性の高い企業が潜んでいるのではないかとの仮説に基づいている。
本来であれば、生産性に関しては、従業員1名あたりの利益を細かく見ていく必要があるが、こと利益に関しては売上とは異なり、その時々の景気や災害、 M&Aなど、特殊要因の影響を受けて大きく振れるため長期的に見る必要があり、分析が難しくなる。よって、まずは単年度の売上で見てみたい。
前回、「『世間に出回る就活人気ランキングに囚われない就活のすすめ』は、本連載の主旨の1つである。いや、最大の主旨と言ってもいい」「『人気ランキ ングには入っていないが実は優良(有望)』という企業を見つけ出し、そのなかから自分に合う企業を選ぶという就活行動が、合理的ではないだろうか」と書いた が、今回も同様の主旨で、業種別にそういった企業を炙り出してみたい。
業種別に生産性の高い企業、断トツ企業を判断するための基となるデータは、これまでと同様、「ダイヤモンドD-VISIONシリーズデータベースサービス 役員・管理職情報ファイル」である。
まず、業種別に売上高トップ5を見てみよう。全39業種について、それぞれの売上高上位5社を表したのが、表1の「業種別売上高トップ5」である