額面で42%増加しても
手取りは33%しか増えない

 国民健康保険と介護保険の保険料は、住んでいる自治体によって計算方法が異なるため、高いところと安いところがある。書籍の中では「東京都江戸川区」「神奈川県横浜市」「大阪府大阪市」の3つの自治体に住んでいる年金生活者を例に手取り額を計算し、一覧表にした。

 ちなみに年金収入の手取りは、所得税・住民税と社会保険料(国民健康保険と介護保険)を差し引いたものである。

 先の例では、65歳時点での年金収入が200万円の人が70歳まで繰り下げると、42%(0.7%×12ヵ月×5年)増え、284万円になると書いた。

 年金収入200万円の手取り額は、早見表に基づくと181万円(江戸川区在住の例)。繰り下げて284万円になった場合は、早見表なのでぴったりの数字はないので280万円を参照する。280万円の手取り額は241万円、60万円増加する。増加率は33%。

 5年間繰り下げると額面の年金収入は42%増えるが、手取りは33%しか増えない計算だ。税金の税率は繰り下げ後も変わらないので税金の負担率が増えるわけでない。国民健康保険料と介護保険料の負担率が重たくなるのだ。

 どこの自治体も年金収入が少ないと、「負担軽減措置」が取られているが、年金が増えるごとに軽減率は低くなり、最終的には本来の料率で社会保険料が計算されるため、年金収入が増えるごとに社会保険料の負担率は増えるのである。

 国民健康保険料と介護保険料は少子高齢化の影響と医療費の高騰を受け、将来的に上昇することは免れないだろう。と、ここまで書いたところで、衝撃の新聞記事を見つけた。

 『東京都がまとめた2018年度の市区町村別の国民健康保険料は、2016年に比べ平均26%上昇、最も増加率が高いのは府中市で57%上昇』(日本経済新聞2月17日朝刊)

 たった2年間で平均2割以上の上昇とは、驚きである。このまま保険料に反映させて来年度から徴収するわけにはいかないため、市区町村は激変緩和措置をとり、数年かけて保険料を引き上げていく模様だ。

 このように国民健康保険料と介護保険料は、負担が増えることは確実。年金の手取り額は、先になるほど減っていくことになるだろう。