ここ最近、投資界で注目を集めている企業がある。インテューイティブ・サージカルという会社だ。
直訳すると「直感的手術」という意味になるこの企業は、実はロボット手術の技術を開発する企業で、シリコンバレーが拠点。「ダ・ヴィンチ」という名前の手術ロボットがよく知られている。
ダ・ヴィンチは、正直なところ、見た目が怖い。台に立つ支柱から4本のロボットアーム伸びている。自動車の生産現場でロボットアームが動いている様子をご覧になったことがあるかと思うが、それよりもちょっと短めのアームが4本もついているのだ。それだけでも怖いが、これが手術台の患者の上に覆いかぶさるように配置され、患者にメスを入れる。医者は直接手をつけないのだ。
4本のアームのうちの3本には、先に小さなメスや鉗子(ハサミ)が装着されていて、これが患者の体内で臓器を切ったり、皮膚を縫い合わせたりする。ロボットが単身で、人間の身体に手術を施す時代がやってきたというわけだ。
このSFの悪夢のような手術風景は、一部の病院ですでに当たり前のことになっている。2011年6月末時点で、ダ・ヴィンチは世界中の病院1560カ所に1933台も導入されている。日本国内でもすでに数十台が入っている。ことに前立腺ガンの手術で多用されているという。
インテューイティブ・サージカル社は、好調な業績を上げており、2011年度の売上は1億7430万ドル。2012年度は、これをさらに17~19%上回ることになりそうだという予測も発表している。現在の株価は500ドル前後で、投資界ではアップル社にも並び称せられる有望株との誉れが高い。専門家によっては、株価は700ドルに達するのではないかと見る向きもあるほどだ。この好調ぶりからわかるのは、手術の現場は、われわれが想像する以上に、どんどん未来的なものになっているということである。