「日本で一番幸せな都道府県はどこ?」こんな疑問に答える興味深い調査結果が昨年11月に発表され、大きな注目を集めた。幸せな都道府県「1位が福井」、「最下位は大阪」という結果は、多くの人の記憶に新しいことだろう。この調査を発表したのは、法政大学大学院政策創造研究科・坂本光司教授らの研究グループ。坂本教授らは、国民の97%が幸せと感じている国・ブータンが導入している国民1人あたりの幸福度を示す「国民総幸福量(GNH)」の考え方を参考に、「幸福度」という視点で40の指標から47都道府県を分析した。各都道府県の地方自治体には住民を幸せにする政治が求められるが、幸福度の高い県は何が優れている一方、低い県はどんな問題を抱えているのだろうか。“幸福”という観点からこれからの日本の地方のあるべき姿について、坂本教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
大都市から離れ、人口は100万人前後以下
トップ3県から学ぶ「幸せ県」の特徴
法政大学大学院政策創造研究科教授。専門は中小企業経営論、地域産業論、地域経済論、福祉産業論。徹底した現場派で、6000社を超える企業や地域・商店街等の実態調査研究を行い、その成果を企業経営者・産業支援機関・行政等、広く社会へ還元している。『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』(ダイヤモンド社)、『日本でいちばん大切にしたい会社2』(あさ出版)など著書多数。
――坂本教授が中心になっている研究グループが発表した「47都道府県の幸福度指数・ランキング」では、1位が福井県、2位が富山県、3位が石川県と上位を北陸3県が占める結果になりました。これらの結果から、幸福度上位の都道府県にはどのような共通点があるといえますか。
1つ目の特徴は、雪が降る日本海側で、大都市圏から遠く離れている地方圏であることです。つまり、「幸せ」というものさしでみると、必ずしも大都市でなければならないという法則はなく、地方でも幸せな県土づくりはできることがわかります。
2つ目は、人口100万人前後以下の中規模県であることです。そのくらいの人口規模が、幸せな県土づくりには有効だと教えてくれています。もちろん、47都道府県中46位は人口が約76万人の高知県でしたから、必ずしも人口規模が小さく、地方圏であればいいわけではありません。いくつかの因子がかけ合わされることが必要なのも事実です。ただ、上位ベスト20位までのうち、250万人以上の都道府県がほとんどないことからも、幸せな地域づくりは、規模が小さい方がふさわしいと言えると思います。
3つ目は、上位県はいずれも都市型のサービス産業・流通より、ものづくり産業、工業に特徴がある点です。しかも、トヨタや東芝、日立などといった大企業の城下町ではなく、ユニークな中堅・中小企業の集積地となっています。また、農耕が広く行なわれている点からも、1.5次産業(1次&2次産業)に特徴があるといえます。