中国のNEV規制はEU(欧州連合)の燃費規制に似ている。EUはBEVとPHEVを優遇しており、これまで欧州基準の自動車制度を採用してきた中国が、EU方式を採用しても不思議ではない。ただし、中国はNEV規制導入と同時にCAFE(自動車メーカー別平均燃費)規制を強化した。これを達成するためには通常のエンジン車の燃費を改善する必要がある。その対策として、マイルドハイブリッド車の開発も各社で進むものと思われる。

 NEV規制は来年4月以降、自動車メーカー別のクレジット制が導入される。今年は努力目標だが、19年は10%、20年には12%をNEVにしなければならない。NEVを1台販売して得られるクレジットは、BEVの場合、“0.012×航続距離+0.8”という計算式が当てられる。航続距離が350kmならクレジットは5になる。現在のBEVの性能から考えると3~5に落ち着くだろう。PHEVクレジットは一律2、燃料電池BEVは“0.16×定格発電出力”で計算し、最大5が与えられる。

 このクレジットは減点方式で、自動車メーカーごとの販売台数からクレジット分が差し引かれる。その結果が“0”になれば目標達成である。クレジットが足りない場合は「他社からクレジットを購入する」か、「政府に罰金を支払う」というルールだ。中国にはすでに小規模のBEVメーカーが20社以上あり、それらの企業が「海外メーカーにクレジットを売る」というビジネスを展開する可能性に中国政府は期待している。

NEVで“自動車強国”
目指す中国政府

 つまり、中国政府はNEVで“自動車強国”を目指しているわけだ。内燃機関エンジンも車体も変速機も、次世代のトレンドを生み出せるほどの開発力はまだ身につけてはいないが、電動化というルールで国内需要を規制して世界中から投資と頭脳を引き寄せようとしている。ただし、NEVを一般ユーザーが買うとは政府も自動車メーカーも当面は想定していない。自動車メーカーが社用車として導入し、官公庁と一般企業がそれに続く。カーシェアやレンタカーなどにも売り込むだろう。昨年、中国では約15万台のNEVが売れ残り、在庫になった。

 当面、NEVには中国政府の補助金が交付されるが、政府は「いずれ打ち切る」方針を公表している。はたして誰がNEVを買うのか。この点が最も予測が困難だろう。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)