「お前は、何もしなかったな」という酒は飲めんぞ

 最後に、筆者が感銘を受けた、部下の挑戦を後押しする言葉を紹介したい。先進的な自治体の一つと言われる長野県塩尻市のいわゆるスーパー公務員が、その上司から言われた言葉だ。

“「お前は、あの時にやらかしたな」という酒は、5年後10年後に一緒に飲める。だけど、「お前は、何もしなかったな」という酒は飲めんぞ”

 生駒市や塩尻市をはじめとする先進自治体は、なぜ先進自治体になり得ているのか、その一つの解は組織風土にある。そして、組織風土を大きく左右するのは、上司のあり方だ。「チャレンジしろ」「責任は俺が取る」と言える上司を増やすことは、地方自治体の成果を高めるために、肝要かつ急務だと感じている。これが民間組織においても当てはまることはいうまでもない。

 最後にもう一つ大切なことがある。部下の背中を押す上司を増やすには、住民も自治体のチャレンジを応援し、一方で、自治体の失敗を許容する必要がある。チャレンジと失敗はトレードオフだからだ。もちろん、失敗は次に活かされなければならない。しかし、失敗を犯すことのない組織や人間は、世の中には一つとして存在しないのである。

(株式会社ホルグ代表取締役社長 加藤年紀)