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元「広告批評」編集長・河尻亨一の「月刊マーケティング時評」

ソーシャルが生み出す、これからのビジネス、
マーケティング、クリエイション

対談●ITジャーナリスト・イケダハヤト×河尻亨一

河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]
【第3回】 2012年2月21日
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ソーシャルコマースを
どう考えるか

河尻 ソーシャルメディアやプラットフォームを活用した色んなビジネストライアルが始まっているわけですね。

イケダ ええ、なかでも「U2plus」はこれからの時代を象徴するサービスの一つだと思います。これはうつ病からの回復をサポートするプラットフォームで、月額470円から軽中度のうつ病治療プログラムである「認知行動療法」をオンラインで受けることができるものです。

 所定のフォーマットに文字を入力するだけで自分の状態を認知し、カウンセラーからの助言がもらえるほか、治療者同士が「できたこと」や「楽しかったこと」をシェアするSNS機能もあります。

河尻 「ソーシャルコマース」という言葉もよく耳にするようになっていますが、これに関してはどうお考えですか? ソーシャルメディアでのつながりを物販に結びつける、つまり“友だち”が薦める商品を購入することができるサービスだと大まかには解釈しているのですが。

イケダ 昨年『ソーシャルコマース』という書籍を僕含む12名の共著で出しました。その際にも色々調べたのですが、既存のEコマースと比較すると現状ではそれで爆発的にモノが売れるということでもないようです。ソーシャルメディアは基本的にコミュニケーションをするためのツールですから、ユーザーのマインドが商品の購入に向かいにくい面はあります。

 ただ、個人的にはFacebookを使ったコマースは伸びる余地があると思っています。Facebookはコマースに力を入れていますし、今はアプリの購入に使えるポイント機能がもし物販にまで適用されることがあれば、このマーケットはかなり大きくなる可能性があります。

河尻 社会プロジェクトに積極的に関わったり、スタートアップを志向する人たちは20~30代の比較的若い層が多いのではないかと推察するのですが、その人たちはどういったモチベーションで活動しているのでしょう? 彼らに接触する機会の多いイケダさんから見て共通点があったりしますか。

イケダ 人それぞれではありますが、ソーシャルで際立って見える人たちはパーソナルな問題意識が強く、それを解決したがっている人が多いと思います。自分がおかしいと思うことに真っすぐに“タックル”しに行くというんでしょうか。

 たとえば、Skypeのような仕組みを用いて聴覚障がい者に遠隔手話通訳サービスを提供する「シュアール」という事業を立ち上げた人は、あるできごとがきっかけで20代前半の頃にこのプロジェクトを始めているんです。聴覚障がい者の方が「日暮里から名古屋に行きたい」と書いた紙を駅員さんに手渡したところ、あっさり「無理」と書かれた紙を戻されてしまったという話を耳にして、これはなんとかしなきゃと思ったんですね。で、それなら手話のできる人がどこかに待機していて、困ったことが起こればその仕組み経由で通訳してもらえばいいじゃないかと。

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河尻亨一
[元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。

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元「広告批評」編集長・河尻亨一氏が、ヒット商品、イケてる人や企業、話題の現象……などなど、「ヒト・モノ・コト」にまつわる旬のテーマをマーケティングの視点から読み解く時代批評です。

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