がんが発生するメカニズムを大まかに説明しよう。

 なんらかの原因で遺伝子に傷が付き、その傷が時間の経過とともに増えることによって、正常な細胞が徐々にがん化していく。

 がん化した細胞は急激に増殖し、やがて正常な細胞を駆逐。その結果、体内の器官が正常に機能しなくなり、自覚症状が現れてくる。

 がんゲノム医療では、がんが生まれる最初の段階の「遺伝子の異常」に着目する。約2万個あるといわれる人間の遺伝子のうち、どの遺伝子に異常が起こるかによって、効果のある薬が異なることが分かってきたからだ。

 これまでのがん治療は、胃がん、肺がん、乳がんなど、臓器別に効く薬が研究開発されてきた。現在の治療のガイドラインでは、例えば胃がんなら「I薬」を投与する、というふうに定められている。

 しかし実際は、同じ胃がんでも、患者によってI薬の効果に差が出てしまう。多くの胃がん患者で有効性が証明された薬でも、一患者で見れば当たり外れが生じる。

 がんゲノム医療では、同じ胃がんでも異常のある遺伝子が異なれば、効く薬も異なってくると考える。故に従来の臓器別から、遺伝子異常別という、より細分化された分類で治療を行うことになる(表参照)。