2000億円はあったライブドアの流動資産
藤沢 ところで、上場廃止でパニックになった個人投資家が投げ売りして、暴落したライブドア株を底値で買って大儲けしたのがモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス、ドイツ銀行などの外資系投資銀行と一部のヘッジファンドです。まさにハゲタカです。お見事ですね。
熊谷 当時、ライブドアは現金など含め換金可能な流動資産だけで1500億円前後も保有し、さらに、すぐに換金できる証券などを簿価ベースで400億円ぐらい(その後の売却金額は約1000億円)も持っていて、こういった資産だけで1株当たり約250円の解散価値はあったんですよ。こういった事情をよく知る外資系のハゲタカ・ファンドは、1株70円前後、つまり実際に持っている資産の3分の1以下でライブドア株を買って大儲けしたんです。
藤沢 その1500億円もあった現金は、熊谷さんがまとめたフジテレビに対する第三者割当増資などで得たものですね。
熊谷 そうですね。私が入社した時、時価総額100億円弱の会社でしたが、株式100分割などにより流動性を上げ、その後逮捕されるまでに直接の責任者として調達した金額は丸4年で合計2000億円。資本政策の天才なんじゃないかと、当時勘違いしていました(笑)。結果論ですけど、あの時、個人投資家は、東京地検特捜部の強制捜査があっても、東証に上場廃止にされても、パニックになって数十円でライブドア株を売るぐらいなら、ずっと持っていればよかったんですよ。
藤沢 そういう意味では、個人投資家はホリエモンを信じて、ライブドア株を買ったけど、まだ信じ方が足りなくて投げ売りしてしまった。本当は最後の最後まで信じればよかったんですね。ホリエモンに対する信仰が足りなかったから市場に罰せられたのかも知れません。
熊谷 (笑)。
藤沢 上場廃止になって、超バーゲンセールでライブドア株を買った外資系投資銀行やヘッジファンドは、その後に多額の配当を要求し、また、最後は韓国の会社などに売り抜けて、合計で数百億円の利益を上げたようです。ライブドアの決算が本当に粉飾であったのかどうかは別にして、ライブドアにはそれだけの配当をする現金があり、事業の継続性に関しては何の問題もなかったわけですね。上場廃止により、以前からライブドア株を保有していた多くの個人投資家が損をして、急に後からやってきたプロがおいしいところを全部持っていったわけです。
熊谷 ライブドアが上場廃止にならなければ、外資系のファンドにそこまでハゲタカされることもなかったわけです。結局、本来であれば以前からライブドア株を保有していた個人投資家などの株主に配当されるべき現金を、ハゲタカに取られてしまう結末になってしまいました。
藤沢 我々はハゲタカだ。最後までハゲタカなりのやり方を通させていただきます。(キリッ)
熊谷 ?
藤沢 すいません。NHK連続ドラマのハゲタカの大森南朋演じる主人公の鷲津政彦のモノマネです。わかっていただけなくて残念です。