おおざっぱな汚染マップを基に、不安だけが残っている状況だと、農家の営農意欲や営農技術がただ、失われていくだけ。データをもとに、作るのを止める選択をしても良いし、放射線量が高い地域で、あえて作付けをするという選択もある。何の作物を作るか、作った作物に放射性物質がどのくらい移行するのか、また収穫後に加工したらどの程度放射性物質がなくなるのかなど、やることはたくさんある。

 農家は次のステップに進める。農家や住民に助言し、選択を支援するのが、今のわれわれの役割だと考えている。

“国なりの効率”は
地元の思いと差がある

――国に対して言いたいことは何か。

 手が回っていない。国には、必要な事業や調査にきちんとカネを出してほしい。原子力発電所に近く、放射線量が高い地域は国がやってくれないとダメだが、それ以外のところはほとんど手つかずだと言って良い。放射線量の高い地域から重点的に調査をやっているから、伊達市など少し離れた地域の農地は最後になってしまう。

 そうはいっても、住民はそうした事情を分かっている。それぞれ、今年農業をやるのか、作付けをするのかという判断をして行かなくてはならないが、そのための判断材料が少ない。

 問題は、除染技術の選択権や除染を担う企業や人、どこから除染をやるのかということを、地元が考える仕組みなっていないということだ。自分達の土地だし、自分達のふるさと、生活圏であるにもかかわらず、イニシアティブがない。カネの使い方は地元に任せてほしい。

――国主導ではだめだということか?

 国は、彼らなりの効率を考えている。それは必ずしも地元のためになっていない。例えば除染は、大手ゼネコンが受注している。政府にとっては契約が一本化されるから、効率的なんだろうと思う。

 しかし、除染作業をするのは地元の小さな建設・土木関連の企業だ。そうした企業は5次から6次下請け。継続的に受注できる除染の仕事ということにはならない。また、イニシアティブがないから除染の技術やノウハウは地元の企業に蓄積されにくい。