選抜高校野球が佳境を迎えた。

 ベスト4に残ったのは東海大相模(神奈川)、智弁和歌山、大阪桐蔭、三重。いずれも攻守でハイレベルなプレーを見せ、ここまで勝ち上がってきた。実力校同士の対決になった準決勝、そして決勝が楽しみだ。

野球部員5人だった
富島高校がセンバツに

 今大会は、こうした強豪とは別に注目された出場校があった。富島高校(宮崎県日向市)である。とくにスポーツに力を入れているわけでもない県立高校。野球部にしても現在指揮をとる浜田登監督が赴任した2013年には部員が5人しかいなかったという。そのため春の大会は近隣校との連合チームで出場したほどだ。

 浜田監督が指導するようになってから1年生が6人入部し、単独チームで大会に出場できるようになったが、試合をしても大差負けが当たり前だった。だが、浜田監督が辛抱強く指導したことでチームは着実にレベルアップし、4年後の昨年秋の宮崎県大会で準優勝。進出した九州大会でも決勝まで勝ち上がり、今選抜でベスト8まで残った創成館に敗れたものの準優勝して甲子園出場を決めた。

 九州大会には各県の大会を勝ち抜いた強豪ばかりが出場する。昨秋の大会にも興南、沖縄尚学、明豊(大分)、鹿児島実業、神村学園(鹿児島)、延岡学園(宮崎)、佐賀学園など甲子園常連の強豪が揃っていた。富島は文徳(熊本)、長崎商、東筑(福岡)とやはり甲子園出場経験のあるチームを次々と破った。もちろん甲子園出場は春夏通じて初。今大会では2回戦で星稜(石川)と当たり、11-2で敗れたが、甲子園で堂々たる試合をしただけでも凄いことだ。部員5人で連合チームでなければ大会に出られなかった、いわば廃部の危機にあったチーム。それがたった5年で九州を勝ち抜き、甲子園の土を踏んだのだから。

 強化が進んだのは浜田監督の名前の力もあるようだ。浜田監督は母校・宮崎商の監督として2008年に夏の甲子園出場を果たしている。その実績から「浜田監督のもとで野球をしたい」という球児が集まるようになった。が、中学時代に活躍していた選手は私立の強豪に行く。富島に来るのはその次のランクの選手だ。やはり浜田監督の指導力が優れていたということだろう。