と、こんな話をすると本当にそんなスーツが開発できるのかと疑問を持つ人もいるかもしれませんが、脳波に関する研究はとても長く、2012年4月にはすでに、脳波を測定するセンサーを使用した「Necomimi(ネコミミ)」という商品が発売されています。
こうした生理学的なアプローチの研究がさらに進むと、脊髄や脳に流れている電気信号をもとに会話ができるロボットが生まれるかもしれません。
さらには、その逆に、ロボットが電気信号を送って人の気持ちや意思をコントロールする。
そんな世界も理論的には不可能ではありませんが、さすがにそんな映画の『ターミネーター』のような世界が実現するのはまだまだ先の話でしょう。
それ以前に、そんな世界が実現してしまったら、それはそれで脅威ではありますが。
いずれにしても、強化外骨格パワードスーツなどは、生理学的なアプローチで人の代替や補助ができることを目的にしていますが、AIの場合には、コンピュータを使った計算によって人の脳の仕組みを再現することで人の代替や補助ができることを目的にしています。
すなわち、アプローチが違うだけで、「人の代替や補助」という目的は同じなのです。
そして、このAIですが、現在は「ディープラーニング」という技術で自己学習をする「子どものAI」が活発に研究・開発されています。
一方で、人が一から教えて丸暗記させるAIは「大人のAI」と呼びます。
同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」である「Google翻訳」と、「大人のAI」である別の翻訳サービス(X翻訳)に同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介しています。現在一番人気の第2回連載「近い将来、『税理士や翻訳家は失業』という予想は大間違い」と併せてお読みいただけたら、望外の喜びです。