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“集金マシン”としてのソーシャルゲームに明日は創れない!「ポケモン+ノブナガの野望」の制作トップが語るビジネスサステナビリティ

――石原恒和ポケモン社長×襟川陽一コーエーテクモゲームス社長 
スペシャル対談

石島照代 [ジャーナリスト]
【第27回】 2012年3月19日
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襟川:「自分にもできる」とどんどんゲーム業界を目指してもらえるのは、有能な人材が集まりますからいいと思いますね。ゲームが好きだと、作りたいっていう気持ちに繋がっていくと思いますから、そういう気持ちに応えられるように我々業界も受け入れていかないと。

「“お金”が好きなひとが作る」と、
集金マシンとしてのソーシャルゲームができあがる

石島:確かに「好きという気持ち」が並大抵ではない、ヒット作を産む実力がある開発者の存在は、コンテンツ企業の存続に重要でしょうが、ソーシャルゲームを見ているとそれは必要十分条件にならないような気がします。

 たとえば、ソーシャルゲームが採用している「ガチャ」とよばれる仕組み(※)は、ユーザーに10万円以上お金を払わせる事も可能です。大変な人気ですが、あれはゲームと言うよりも企業側に都合のよい集金マシンであり、もはやゲームとは呼べない。それゆえに、社会問題化しつつあります。

襟川:「ガチャ」の市場ニーズがあるのは確かだと思いますが、ゲームのどのくらいの比率をガチャで占めさせるかというゲームデザインには、限度があると思います。確かに、ガチャばかりのものはゲームとは違う定義かもしれません。

石原:つまり、ゲームの設計が“お金”から入っているか、それとも“ゲーム”から入っているかということですよね。お金が好きな人はそういうゲームをつくるし、ゲームを好きな人はそういうゲームをつくる(笑)。

 それはさておき、確かにソーシャルゲームの勢いは脅威だと感じています。パッケージビジネスの場合、作ったら市場に出してビジネスが終わってしまうわけですが、ソーシャルゲームの場合はユーザーの反応を見ながら、運営側でいろんなサービスをしているわけですよね。「これは100円で買ってもらえなかったから安くしよう」とか、ビジネスチャンスが継続している。これは、従来のパッケージビジネスにないことですよね。

石島:パッケージビジネスはコンテンツ中心だけど、ソーシャルゲームはマネタイズ中心と言うことでしょうか。

(※)ガチャ…ゲーム中に使えるアイテムやアバターに着せる服などを購入できる、1回数百円のデジタルくじ。玩具店にある「ガチャガチャ」が語源であることからわかるように、自分が欲しいアイテムが直接買えるわけでないのが最大の特徴。ユーザーは非常に低確率で登場するレアアイテムの入手や、コレクション性のあるゲーム内アイテムを全部集める(コンプリートする)目的で、延々とくじを引きつづけ(ガチャを回しつづけ)、総額で10万円以上使う人も珍しくない。また、「ガチャ」の中でも、特に「コンプガチャ」と呼ばれる、コレクション性のあるゲーム内アイテムを完全に集めさせるゲームデザインのガチャは、巨額な請求額となることが多く社会問題化しつつある。(解説:小山友介・芝浦工大准教授)

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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