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“集金マシン”としてのソーシャルゲームに明日は創れない!「ポケモン+ノブナガの野望」の制作トップが語るビジネスサステナビリティ

――石原恒和ポケモン社長×襟川陽一コーエーテクモゲームス社長 
スペシャル対談

石島照代 [ジャーナリスト]
【第27回】 2012年3月19日
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石原:課金を激しくやっていくゲームって、「お金を払ってもらうためにどんなゲーム性であるべきか」っていう追求の仕方をしますよね。それと、どうやったら面白くなるかっていうのはかなり軸が違う話ですよ。

 僕自身も手掛けるゲームはすごく開発に時間がかかってしまう。やっぱり会計年度ごとにモノがつくれれば一番いいですけど、そうはいかない。開発に時間がかかる理由は、プログラムや音楽やストーリー制作だけに時間がかかるからではなくて、そのゲームが長く何度も楽しみたくなるかどうかを検証するためです。その部分って別に「いいよこれで」って出せちゃうんだけど、「いや、もうちょっとよくなるはず」って何度も繰り返してね。

 どうしても単年度で一気にケリをつけようとしてしまうと、検証ができないまま出してしまう。すると、結局は収益に悪影響が出る。

石島:こういう話が軽視されてしまうのは、結局コンテンツビジネスもビジネスである以上、とにかく利益を確保しなければならないからでしょうか。ですが、一時的な利益確保は、コンテンツビジネスのサステナビリティを保証しないでしょうし、それは結局「ポケモン」や「信長の野望」のようなブランドを産みにくいのでは。

石原: 最近、映画の累計興業収益をちょっと調べたんですよ。そしたら、シリーズもののトップは「ハリーポッター」(8作)で7700ミリオン米ドルだった。ちなみに、「ポケモン」は14作で1150ミリオン米ドルくらい、世界の20位くらいでした。では、ハリーポッターシリーズは映画業界における最高峰の映画か? と問われると、多くの人は「いや、もっと素晴しい作品がたくさんある」と答えるのではないでしょうか。しかし、ビジネスとして数字だけを見ると最大の成功例になる。結局、こういう結果が一番株価とか価値を決めやすいんだろうし、それがビジネスのサステナビリティを推測する手がかりにもなるのかな、と。

 でも、こちらも毎回「これで客がくるんだろうか」って必死に考えて、映画をつくっている。頑張らなかったら、興業収益も半分に減っているでしょうね。それは肌身に感じます。ですから、お客さんに対して、「ここまで新しいことを届けられた」という、僕らの情熱に対する答えは結果として返ってきていると思いますね。だから常に新しいチャレンジをしようと。もちろん「ポケモン+ノブナガの野望」も、その一環です。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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