黒柳さんの「愛」は
少女時代に培われた

 黒柳さんは『窓際のトットちゃん』のあとがきでこう綴っています。

<「君は、本当はいい子なんだよ」といい続けてくださった、この言葉が、どんなに、私の、これまでを支えてくれたか、はかり知れません。もしトモエに入ることがなく、小林先生にも逢わなかったら、私は、恐らく、なにをしても、「悪い子」、というレッテルを貼られ、コンプレックスにとらわれ、どうしていいかわからないままの、大人になっていた、と思います。>

 トモエ学園は障がいを持った子どもたちも、そうでない子も、一緒にのびのびと遊べて勉強できるところでした。
 小さい頃からこんな環境で育った黒柳さんは、おのずと「人を差別しない人」になっていったのでしょう。

 そして子どもの頃、戦争を体験したからこそ、心底、子どもの幸せと平和への願いを強く持つようになったのだと思います。

「人を差別しない」ということを現実に実行することは大変難しいことです。

 でも、これまでの黒柳さんの生き方を見てみると、それを心から誠実に、そして天然ともいえる自然体で実行しているように思います。

 何と言っても、風の四緑の「愛」は、広く広く遠くまで広げていくことが人生のテーマなのですから。