診療では患者さんの気持ちを受け止める

 初診で重視するのは問診です。本人と家族から、生活歴や病歴、現在の症状などを聞きます。記憶力や判断力を調べるための神経心理診査、脳の萎縮状態や血管の変化をみる画像検査、血液検査や血流検査などを行い、総合的に診断します。

 検査の結果、認知症と診断された方には、家族などの介護者と一緒に定期的に通院してもらいます。診療では、まず患者さんのお話しを聞きます。患者さんは、日常でうまくいかないことが増え、「これから自分はどうなっていくのか」「家族に迷惑をかけてしまって申し訳ない」いった不安や罪悪感を抱いています。「さっき言ったでしょ」「どうしてできないの」といった家族の叱責に対し、自信喪失したり怒りを感じたりしているのです。その悩みや苦しみを受け止め、患者さんの「弁護人」となり、家族と一緒に解決法について話し合います。

 介護の悩み、将来の不安など、多大なストレスを抱えている家族の方の声にも耳を傾け、病状を説明し、介護のアドバイス、時にはカウンセリングなど精神的なケアもします。

 神障害者保健福祉手帳の取得や、傷病手当金、障害基礎年金などの経済的支援制度、介護保険制度の利用も勧めます。患者さんが仕事をしている場合には、定年まで働くことを目標とし、上司や人事担当者、産業医などと話し合って職場の理解を得られるようサポートします。常に、患者さん、家族が共に「診療に行きたい」と思われる場であることを意識しています。

正しく認知症を理解することが治療の第一歩

 認知症の治療法は原因となる疾患により異なりますが、大きく分けて薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法には、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の進行を遅らせるドネペジル(製品名:アリセプト)をはじめとしたコリンエステラーゼ阻害剤の投与、うつ、興奮、睡眠障害などBPSDの症状を改善する薬の投与などがあります。ただし、根本治療薬はありません。